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2021/04/19
アスリートフードマイスターに聞く!Vol.12 ラグビー編 合谷和弘選手

【アスリートフードマイスターに聞く!Vol.12 ラグビー編 合谷和弘選手】


「セブンズジャパン」の愛称で呼ばれる7人制ラグビー日本代表の一員で、ラグビーのトップリーグ「クボタ・スピアーズ」に所属する、
合谷和弘選手(27)をチェックする。これまでに各年代の日本代表に選出され、2016年にはリオ五輪に出場し4位進出に貢献。強靭なフィジカルや精神力を支える土台となる日々の食生活にも、高い意識管理が求められるのは言うまでもない。管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格を持つ奥村(生産開発部研究開発グループ所属)は、合谷選手の「糖質量」などに改善点を見つけた。

1日の食事記録をチェック

 はじめに、合谷選手にご回答いただいたアンケート結果によると、身体測定値は身長170センチ、体重75キロ(空腹時)。トレーニング頻度は週4~5日。1日の野菜摂取量(イモ類除く)は小鉢2~3杯、果物は週4~5日摂られています。間食はナッツ系を中心に週4~5日、ケーキなどの甘いものを週2~3日食べている。また週2~3日の頻度で、21時以降にプロテインバーを夜食にしているほか、サプリメントではサン・クロレラAパウダーを取り入れています。1日の食事記録は以下の通りです。


食事記録などから、▽ごはん▽たんぱく質のおかず▽野菜▽果物▽乳製品と、栄養バランスが取れた食事を心掛けていることがわかります。肉、魚、卵、大豆製品といったたんぱく質を豊富に含むおかずをまんべんなく食べていることに加え、βカロテンを含む緑黄色野菜やビタミンCを含む果物やオレンジジュース、ビタミンEを含むナッツなどを意識して摂られており素晴らしいと思います。
βカロテン、ビタミンC、ビタミンEは「抗酸化物質」と呼ばれ、疲労物質を軽減する働きがあります。アスリートの皆さんには抗酸化物質を含む食材を積極的に摂っていただきたいです。

ごはん増量or補食で糖質量不足を改善

 気になる点は、ごはん、パン、麺類などの糖質を多く含む食品の摂取量が少ないところです。糖質は体を動かすうえで一番重要なエネルギー源となります。合谷選手は1日に3時間を超えるフィールドトレーニングで汗を流し、多くのエネルギーを使っています。糖質が不足することで疲労感を感じやすくなり、持久力も続かなくなります。練習がある日は運動量も多いので、最低でも1日で体重1kgあたり5gの糖質量を摂ることをお勧めします。合谷選手の体重で換算すると375gの糖質量が必要です。写真の食事内容から推定で摂取できている糖質量と併せて、375gの糖質量を摂ることができる食事例を挙げますので、ぜひ参考にしてみてください。

▽写真の食事内容から推定で摂取できている糖質量

▽375gの糖質量を摂ることができる食事例

 現在食べているごはんの量は毎食お茶碗1杯(150g)ぐらいの量なので、さらにお茶碗半分の量を追加できれば理想的ですが、厳しい場合は補食で分けて食べることもお勧めです。特に、15時~16時半のフィールドトレーニングを終えたときの体は、エネルギーを多く使って疲れた状態なので、疲労回復のエネルギー補給としておにぎり1個(ごはん120gぐらい)を食べることが望ましいです。ただ、激しいトレーニング後で食欲がなく、おにぎりが食べにくい場合はゼリー飲料1個で補給しても良いと思います。
ここまで「体重1kgあたり5gの糖質量」をお勧めしていますが、運動量が多い場合はそれ以上に必要な場合もあります。トレーニング中の疲労感が強かったり、お腹が空いたりした場合は、さらに糖質量を増やすなど適宜調整してください。

カルシウム食材でさらに強化

 筋肉の働きや骨作りに必要なカルシウム。合谷選手の場合、毎食時のヨーグルトや納豆、朝食の焼き魚などに豊富に含まれていますが、さらに摂取量を増やすためにチーズやちりめんじゃこ、しらす干し、わかめといった食材も積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。例えば、チーズは間食で頻繁に食べているナッツと一緒に、ちりめんじゃこはごはんの上に、わかめはお味噌汁の具材にすれば摂りやすいと思います。
また、魚やきのこは骨の形成に関わるカルシウムの吸収を高めるビタミンDが豊富で、カルシウムを骨に沈着させる役割のビタミンKはひじきやわかめ、青菜の野菜、納豆にも豊富に含まれています。今後も骨を丈夫に保つため、たんぱく質のおかずはお肉だけに偏らず、納豆、お魚とバランス良く食べていただきたいと思います。

試合前は脂質の摂り過ぎに注意

 すでに気をつけていると思いますが、揚げ物やバター、生クリームを多く使っているケーキなどの脂質を多く含む食品は、試合前日・当日は胃腸に負担を掛けるため避けるようにしましょう。好きなものを食べることはストレス解消になりますが、食べ過ぎると体脂肪が増えてしまうため、量や頻度には注意が必要です。揚げ物を食べる時は脂質の吸収を抑えるために食物繊維が含まれる葉物野菜やきのこと一緒に食べたり、バターや生クリームを使ったケーキを食べる日は揚げ物等の脂っこいものは控えたりするなど工夫していただければと思います。

 「すでに栄養バランスが取れた食事ができている」と評価された食生活習慣にあっても、今回のチェックでは糖質量などいくつかの改善点が見つかった。日々、激しい運動量が求められるアスリートにとって、戦うための十分なエネルギーチャージは欠かせない。奥村のアドバイスを実践し、栄養管理の観点からもスケールアップを狙う合谷選手。「バランスの取れた食事は継続していく。糖質量が少ないとのことだったので、練習量に合わせてもう少し摂取するように意識したい」とあらためて足元を見つめなおした様子だ。セブンズジャパンの中心選手としての役割が期待される今季。充実した心技体で、目標のメダルをつかみに行く。

合谷和弘選手が飲んでいるサン・クロレラAパウダーはこちら

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