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2021/09/10
アスリートフードマイスターに聞く!Vol.14 総合格闘技編 山本美憂選手

【アスリートフードマイスターに聞く!Vol.14 総合格闘技編 山本美憂選手】

「自分が納得できる試合をする」─。その一心で、これまで闘いの世界に身を投じてきた、山本美憂選手(KRAZY BEE 所属)、46歳。
ミュンヘン五輪のレスリング代表だった父・郁榮により幼少時から弟の山本“KID”徳郁、妹の山本聖子とともに、レスリングの英才教育を受けてきたサラブレッドだ。1991年、17歳のときに初めて出場した世界選手権を史上最年少(当時)で優勝。その後、94年と95年に世界選手権を連覇し現役を引退した。99年に現役復帰を発表し、アジア選手権大会優勝などの好成績を残し、2000年に再び現役引退を発表。2016年9月、RIZIN さいたまスーパーアリーナ大会にて総合格闘技(MMA)デビューし、現在は総合格闘家としてキャリアを積んでいる。
今回、管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格を持つ奥村(生産開発部研究開発グループ所属)は「糖質の摂取量」に注目した。

1日の食事記録をチェックする

アンケート結果によると、山本選手の身体測定値は身長156㌢、体重55㌔(空腹時)。トレーニング頻度は週6~7日。1日の野菜の摂取量は小鉢6杯以上で、果物は週4~5日、牛乳・乳製品は週2~3日食べています。夜9時以降の食事は週2~3日で、間食は主にフルーツ、夜食はヨーグルトを摂っています。1日の食事および活動記録は以下の通りです。

スムーズな疲労回復には糖質量がカギ

アンケートや食事記録から、脂質を多く含む揚げ物の摂取を週1日以下に控え、たんぱく質のおかずも肉、魚、卵、大豆製品と1日のうちにまんべんなく食べていることが分かります。また野菜の摂取に関しても、リーフレタスやトマト、野菜の煮物など、小鉢6杯以上を毎日食べている点はたいへん素晴らしく、バランスの取れた理想の食事だと考えます。
そのなかで今後、意識してほしいポイントが1点あります。
山本選手は毎日ハードな練習を繰り返しているため、エネルギーとなる糖質を多く含むご飯やパンなどの摂取量が少なくならないように心掛けてほしいと思います。
運動時は主に糖質と脂質がエネルギーとして使われますが、体内の脂質をエネルギーとして利用するためには糖質が必要になります。脳では糖質が重要なエネルギー源となるため、糖質の摂取量が不足すると、注意力や集中力が低下するため怪我のリスクが高まってしまいます。
さらに、糖質の摂取量が少ない場合、筋肉の材料であるタンパク質からエネルギーがつくられてしまい、結果として筋肉量が減少する恐れがあります。
通常、糖質は筋肉や肝臓に蓄えられており、運動中は貯蔵されている糖質や運動前の食事で摂取した糖質を利用して必要なエネルギーをつくっていますが、運動後はその糖質を多く消費した状態のため、疲労を感じやすくなります。そのため、エネルギーとなる糖質を多く含む食品を摂取しスムーズな疲労回復を行うことが大切になります。
山本選手の1日の食事記録を見ると、ボクシング練習の直後にプロテインシェイクを飲んでいますが、糖質補給のためにもおにぎりやサンドイッチを1個程度食べられると理想的です。

練習前の間食はタイミングが大事

間食を食べるタイミングも大事になります。活動記録によると、ボクシング練習を終えてから2時間半後に総合格闘技のトレーニングをしています。総合格闘技の練習直前で間食すると、胃腸に負担を掛けてしまう恐れがあるため、おにぎりやサンドイッチを食べる場合はトレーニングをする1時間~1時間半前ぐらいが望ましいです。
アンケート結果によると、山本選手は主にフルーツを間食として摂っています。自身のコンディションやトレーニングなどの状況に合わせながら選んでいると思いますが、フルーツの糖質量はご飯やパンに比べて少なくなります。運動量が多い場合は、おにぎりやサンドイッチ等といった糖質を多く含む食品を食べるなど、その日のトレーニングメニューに応じて取り入れることをお勧めします。

たんぱく質源に魚がおすすめ

総合格闘技は体重管理が必要な競技のため、筋肉を維持して体脂肪をつけないように高たんぱく質、低脂質の食事を心掛けることが求められます。それを踏まえたうえで山本選手の食事記録を見ると、たんぱく質源に焼き魚を取り入れており、さすがだと思いました。
サケやブリ、イワシやサバ、サンマなどの魚は DHA や EPA といった「n-3 系多価不飽和脂肪酸」を含み、魚を食べると心血管疾患リスクが低下することが多くの研究結果で示されており、上記のような n-3 系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚を週2回以上食べることが推奨されています(「栄養ケアプロセスを目指して-栄養学と食事療法大事典-」より)。
そのため、n-3 系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚は高たんぱく質、低脂質を志向する食事にはぜひ取り入れたい食材です。

野菜を多く食べる時の工夫

野菜の摂り方においても、山本選手の食事はほかのアスリートのお手本となる点があります。量をたくさん摂りたいと思っても、生の野菜はかさが増えるため、食べ辛く感じたことがある人も多いでしょう。その時は山本選手のように煮物やスープ等で食べてみましょう。かさも減るため、野菜を多く食べる際の工夫の一つとしてお勧めです。


年齢を重ねても一向に衰えることのない挑戦心は、心身の充実があってこそ。そのうえで山本選手の体を支えているのは、栄養管理が徹底された日々の食生活にほかならない。今回のチェック前からすでにバランスの取れた食事を実践していた山本選手。今回、奥村からの「糖質量」に関するアドバイスに対して、「糖質に関して、ここまで具体的なアドバイスをもらい、とてもありがたい」と感謝し、新しい気づきを得た様子だ。ここまで築き上げてきたキャリアにも、慢心は一切ない。「常に怪我のリスクはあるので、アドバイスを参考にしながら取り組んでいく」。冷静に足元を見つめなおし、立ち止まることなくさらなる成長を求めている。

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