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vol.19
深く、それぞれを見つめるまなざし
スポーツの枠を越えた“人財”を育てる

楠元龍水
(延岡学園バスケットボールヘッドコーチ)

深く、それぞれを見つめるまなざし 前編
2020/07/02

メンフィス・グリズリーズの渡邊雄太選手とワシントン・ウィザーズの八村塁選手、二人の日本人選手がNBAで目覚ましい活躍を見せている。延岡学園高校男子バスケットボール部の楠元龍水監督は、その渡邊選手のチームメイトとして高校時代を過ごし、現在も厚く交流を続ける親友だ。監督としての活躍も目覚ましく、2019年のウィンターカップでは母校である尽誠学園と名勝負を演じ、めきめき頭角を現している
日本のバスケットボールプレイヤーを育成する指導者として、楠元監督は何を思うのか。そこには子どもたちを見つめ、“人財”として成長を促す教育者としての信念があった。

突然、苦難からのスタート

 楠元の監督就任は想定外だった。延岡学園高等学校の同法人である尚学館中学校で教員兼バスケットボール部監督として勤めて2年目のとき、延岡学園高等学校男子バスケットボール部の1年生留学生が試合でレフェリーに対する暴力事件を起こし、監督が引責辞任したことで繰り上がるかたちでの就任となった。「事件ののち、部員たちはプレーで日本一を目指す前に、信頼を回復し改めて応援される集団にならなければいけないという課題を突きつけられました」。楠元にとっても、10年後ぐらいには高校の監督に就任するだろうと予想していたなかの突然の事態。当然戸惑いはあったが、早々に指導指針を打ち出した。「私自身、バスケットボールを通じてプレーだけでなく人間的な部分も学んできました。教育者となった当初から『バスケットボールを通じて“人財”を育てる』というコーチングフィロソフィーを持っていて、私の目指すところと彼らが目指すべきところが一致したように思いました」。

 事件を起こした留学生はホームシック気味だったという。結局本人の希望で帰国することになったが、まだ他学年の留学生は残っていた。「渡邊を訪ねてよくアメリカに行きますが、たった1週間でも文化の違いに苦労します。当然留学生も頼れるところがなく、心細い思いを強いられている。ところがほかの生徒にしてみれば、オレには関係ないというスタンスでも高校生活には差し支えない。でもチームとしてはそうじゃないんだよ、強くならないんだよ、と皆で共有することから始めました」。食堂ですれ違う時には声をかけたり、練習中もちょっとした会話をするよう意識した。リフレッシュのために学外のカフェへ連れ出し、楠元も交えながら共に過ごす時間も作ったという。その結果、どちらかというととっつきにくかった留学生がチームに溶け込めるようになった。さらに新しい留学生が来てもその取り組みは自然と続いている。上級生が下級生の見本となり、留学生を含めたチーム作りの土壌ができあがったようだ。

 選手が自主的にチーム作りを意識できれば、練習やプレーの一つひとつに対する考え方が変わる。「いくらいい指導者がいても、コートでプレーするのは選手であって、結局最後は選手の考えや力が結果につながります。だから選手主体でゲームを動かし、私は微調整をするだけというのが理想のチームです。社会に出ても、求められるのはそういう“人財”でしょう」。楠元のコーチングフィロソフィーは、過去の苦い経験をそれだけで終わらせず、チームの躍進の糧としているようだ。

一人ひとりを見つめ、実力プラスアルファまで評価

 部員それぞれの自主性と団結で高みをめざす。とはいえ、個人の能力差はいかんともし難く、すべての部員がレギュラーメンバーになれるわけではない。「私も高校時代はユニフォームをもらえるかどうかという選手で、3年生でやっとチャンスを掴んで試合に出られましたが、それでも至らないところが多々ありました。だからこそ努力と工夫を重ねてきたという自負があります」。楠元の出身校は尽誠学園。当時も今も指導している色摩監督は、15人のメンバー全員を実力だけで選ぶのではなく、“努力枠”も考慮している。「学校生活をきちんとする、テストで結果を出す、そしてもちろん練習では誰よりも声を出し、ハードワークをこなしました。それでも力は及びませんが、そのレベルが本気であれば評価していただけた高校時代だったので、監督となった今もそこにこだわりがあります」。強豪校だけに、その陰で自信を失い消極的になってしまう選手はつきものかもしれない。しかし能力に違いはあっても、ちゃんと見てもらえているということがわかれば、モチベーションが上がるはずだ。「Bチームのために練習試合を組むこともあります。そのときはAチームのメンバーがスコアラーやモップがけなどサポート役に回る。全部員に等しくチャンスを与えられるかといえば難しいかもしれませんが、そこは無視したくありません」。

 バスケットボール部の練習スペースはコート1面だけ。そこで41名の部員が同じ練習をする。客観的に見れば、AチームとB チームを分けて、片方はコートを使わないメニューを組んだ方が効率的だ。「それでもチーム全員で同じ練習をしたい、というこだわりです。分けてしまうと、試合の時Aチームがどういう戦術で戦っているのかBチームにはわからなくなります。それでは何をやっているのかもわからないから、応援ができない。同じ時間を共有した仲間だからこそ感情移入し、どう声をかけたらいいか考えられるんです」。試合ではそれぞれ役割が違うが、全部員で全試合を戦いたいという。「それがために実力のある選手の足を引っ張っているという見方もあるかもしれませんが、このやり方で最強をめざす。誰がなんと言おうと、曲げる気はありません」。奥行きのある視野と、選手一人ひとりに焦点を絞ったまなざしには、信念が込められている。

普段の生活を見ているからこそ、栄養面もサポート

 バスケットボール部員のうち、36名が寮で暮らしている。楠元は寮監も務めているため、監督として選手の体調管理を指導する一方、共に寮で暮らしながら彼らの日常と生活の実態を目の当たりにすることになる。「寮食は食中毒への警戒から焼き料理が多いんです。これだとたんぱく質と炭水化物は豊富に摂取できますが、食物繊維はあまり摂れないように感じます。選手としていい体作りをするには食物繊維も必要なので、なんとかしたいなと考えていました」。そんな選手の健康への気遣いからサン・クロレラAパウダーを導入した。「渡邊が飲んでいるのを見て、サン・クロレラAパウダーを知りました。体調管理のために飲んでいると聞いて、自分でも買ってみたんです。飲み始めてみたら、体調を崩すことが少なくなったなと実感できました。またプロテインドリンクに混ぜれば動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を両方摂取できるので、バランスのとれた体作りができると思い、選手たちにも飲んでもらうことにしました」。自身の高校時代はスナック菓子、炭酸飲料、インスタントラーメンなどを断ち、小腹が空いたら菓子パンではなくおにぎりを食べるなど、選手たちで自主的に栄養バランスを考えて食事を摂っていた。栄養そのものだけでなく、皆で取り組むことがチームの団結になり、プレーに活きてくるという一面もあったそうだ。「栄養管理も選手の自主性に任せたい気持ちはありますが、身近で彼らの食事を見ていると、できることはしてあげたいなと思います。今ではトレーニング中や食事の際に飲むのが習慣になり、体にいいものを摂るという意識づけにもなりました。もちろん私も愛飲しています」。

楠元龍水
1994年生まれ、鹿児島県出身。小学生からバスケットボールを始め、尽誠学園高等学校(香川)に進学。3年の全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会の決勝で延岡学園と対戦し、惜しくも破れる。その後、京都教育大学へ。教員としてバスケットボールの指導者をめざしていたところ、中学時代の恩師であり当時延岡学園で指導していた川添監督に薦められ、尚学館中学校で教鞭を執りながらバスケットボール部を指導する。2018年6月、留学生の暴行事件で川添監督が辞任したことから急遽、延岡学園バスケットボール部監督に就任した。