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vol.32
Own the moment2
アスリートが示す、迷いの時代の生き方

山本美憂
総合格闘家/MMA

Own the moment 2 前編
2021/05/11

新型コロナウイルスのパンデミック発生から1年以上が経ち、その間、人々の生活や社会全体は大きく変容を強いられてきた。それはアスリートも同じで、試合の開催だけでなく毎日のトレーニングにも制限がかけられている。
誰もが以前の生活との違いに戸惑いを抱いているだろう。しかし、混迷の時代にあっても山本美憂に迷いはない。一変した日常を生きながら目標を見失わず、それどころか新しい取り組みにも果敢にチャレンジする。そんな彼女の強靭なメンタリティから、コロナ禍において求められる生き方のヒントが見えてきた。

コロナ禍を逆に利用し、今までできなかったことを

 山本が拠点を置くグアムでは、2020年3月中旬にロックダウン措置が施行された。「ジムのヘッドコーチがグアムで格闘技イベントを開いた翌日からロックダウン。それ以降は自由に試合もできない状態です。競技によって違うだろうけど、私たちはコンタクトスポーツだし、影響はかなり受けました」。人との接触が制限されたため、ジムでのトレーニングも当面中止となったという。「それでも私の運が良かったのは、家族に夫(コーチであり選手でもあるカイル・アグォン)と、アーセン(MMA選手の長男)がいたこと。3人で玄関ポーチでトレーニングしたり、バックヤードでウェイトをしたり、そういう状況がしばらく続きました。ほかのジムのメンバーは一人で走り込んだりしてたみたいで、私たちのことを聞いて『お前ら良いなー』って(笑)。制限が緩和されてもジムは開けられなかったので、日替わりでジムのメンバーが来て、ウチがジムみたいになってました」。練習環境としては比較的恵まれていたようだが、試合も組めないなか、モチベーションの維持には苦労しなかったのだろうか。「いつもは対戦相手の対策が中心で、練習内容が偏るしバタバタする感じ。これは次の対戦相手には必要ないからとやらない練習もあるんです。それがロックダウンの期間はグラップリング、寝技、レスリング、ボクシング、キックボクシングと全体的にトレーニングできたし、今までしたこともなかった技術練習やドリル練習もできました。やりたくてもできなかったことができて、毎日がすごく楽しかったです。今日はこれができるようになった、明日はこれやりたいねってみんなで話し合って、全体的なスキルアップができたと思います」。人の動きや経済活動が制限されるロックダウンは、社会的な空白期間ともいえる。個人レベルでもそれまでの日常が変化したことによって、ポッカリと精神的な空白ができてしまった人も多いのではないだろうか。しかし山本はこの期間を逆に利用し、成長の機会とした。「もちろんトレーニングの施設や器具が整った環境の方がいいに決まっていますが、なければないで何とかできるもの。自分の気持ち次第ですね」。それまで山本が繰り返し日常に刷り込んできたルーティンは、コロナ禍のような重大な事態に直面しても容易に崩れるものではない。状況に惑わされず、いかに普段と同じことをするかというシンプルな指針に従って行動すれば日常は取り戻せるし、成長の歩みを止めることもないと証明しているようだ。

結果なんかわからない、でもやるしかない

 ロックダウン期間も従来通りアスリートとして研鑽を続ける一方、新しい取り組みにもチャレンジしている。「以前から妹の旦那さんの(ダルビッシュ)有くんに『YouTubeやったほうがいいよ』と言われてて、でも知識はないしマメでもないから有くんみたいにちゃんとできないと思いつつ、勧められたカメラだけは買ってたんです。そのうち日本に遠征に行くことになって『じゃあカメラも持って行こう』となって、それから始めました。私のYouTubeチャンネルではできるだけグアムの綺麗な景色を撮っていて、今度旅行したらここに行ってみようと思ってもらえるような、私なりの観光案内ができたら良いなと思ってます。ジャングルで5時間くらいさまよって怖い思いをしたこともありますけど(笑)、撮影しながら子どもたちとグアムの自然を満喫して、一緒にいろいろ体験をする時間を過ごせました」。

 山本はグアムでグリーンカードを申請している最中、2020年大晦日開催の「RIZIN.26」に出場するため日本へ帰国した。しかし申請中は必要な手続きなしでは出国できないという規定に反したため、現在は帰国できず日本に留まっている。そんなミスから生じた状況も「2021年は出稼ぎの年だと思って(笑)、グアムではできないことをこっちでしっかりやって帰ろうと思います」と明るく捉えている。「弟(山本“KID”徳郁)がプロデュースしたジム「KRAZY BEE」がコロナ禍の影響で打撃を受けているので、なんとか安定させたいなといろいろ取り組んでいます。あとかなり前からアーセンと『アパレルブランドを立ち上げたいね』と話していて、日本にいるタイミングにと思い切って新ブランド「GK’s」を立ち上げました。今までカナダやグアムで暮らしてきて実家にいることが少なかったので、両親と過ごす時間も大切にしたいですね。こうして見るとこっちでやるべきことがたくさんあって、夫や両親とも『タイミング的に日本にいるべき時期だったんだよ』と話してます。私はいつもやりたいことが多くて、落ち着きがないかも。でもそれが子どもや夫、みんなの将来の幸せにつながることだと思ってる。結局は家族のためです」。

  不本意な状況にあってその場でできること、やりたいことを見つけるのが難しい人もいるだろう。そうした人にとって山本の考え方は、1試合ごとに勝つか負けるかの戦いを繰り広げるファイターならではの気概、と受け取れるかもしれない。しかしそうではないはずだ。「もちろんコロナの影響による変化に最初は戸惑いがありました。でもいろいろ制限されてても1つの部屋に監禁されてるわけじゃないから、ルールに則ったうえでできることはあるはずです。子どもはおもちゃがなくても自分で道具を見つけて遊びを創るでしょ?そういうのって誰しもが持っていて、私がやっているのもその延長線上のことです。まだ結果を出せてるわけではないし、もしかしたらダメになるかもしれないけど、とにかくやるしかない、がんばるしかないという感じ。その過程でどうなったとしても、それは勉強だと思ってます。嬉しいことも大変なことも経験となって残るし、決してゼロに戻ることはありません」。何かを始めたとき、結果が約束されていることなどないし、もちろん山本も例外ではない。むしろ山本はレスリング選手時代、トップクラスの実力ながら外部的な要因が重なってオリンピック出場が叶わないなど、アスリートとして辛酸を舐めてきた。それでも挫折を踏み越え、挑み続けている彼女だからこそ、過程の全てが自分のためになるという言葉には確信が込められているのだろう。

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