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Vol.68
未来だけを見つめて。
度重なる苦境や不遇な環境にあっても、挫けず挑み続ける彼を突き動かしてきた、ある夢と未来図について。

プロアイスホッケープレーヤー
平野裕志朗

未来だけを見つめて。後編
2023/11/07

2022-2023年シーズンは好調をキープし、プレーも悪くなかったにもかかわらず、チャンスに恵まれず、チーム事情などの不運もあって思わぬ不遇のシーズンを過ごすこととなった平野裕志朗選手。しかし不屈の精神で今シーズンのAHLでの契約を勝ち取ると、先日行われた世界選手権では日本代表として全勝優勝と8年ぶりのDivision 1A復帰に貢献。個人としても大会ベストFWに選出されるなど活躍を見せた。
数多くの危機も、持ち前の明るさとポジティビティで乗り越えてきた、日本アイスホッケー界のフロントランナーでもある平野選手に、現在の日本アイスホッケー界が抱えている課題と、未来への思いなどについて語ってもらった。

日本アイスホッケーの未来のために掲げた、決意の声明。

世界選手権を全勝で制覇し、見事8年ぶりにDivision 1Aへの復帰へと導いたアイスホッケー日本代表。平野選手はその要因に「危機感」を挙げていた。現在の日本アイスホッケー界に横たわる問題に対する危機感が、チームの結束を高めたということだった。ではその問題とはなんなのか。
じつは、アジアリーグに所属する強豪チームである、ひがし北海道クレインズにおいて経営不振による給与未払いが発覚したのだ。クレインズの選手の大半がチームを離脱し、北海道ワイルズに移籍する。ところがワイルズのリーグ加盟申請は締切に間に合わず、審査は来期以降となってしまった。その結果、いま多くの有力選手が1年間ゲームに出場できなくなってしまっているのだ。そのなかには世界選手権で全勝優勝を果たした日本代表のメンバーが3人も含まれていた。
「もちろん規定は規定であり、協会サイドの言い分もじゅうぶん理解はできる」と語る平野選手。しかし、現状を放置しておくことが日本のアイスホッケー界にとって決していいことではないこともまた確かなことだ。すくなくとも平野選手にとっては、それは疑うことのない事実であると感じていた。いてもたってもいられず、彼は行動に出た。

平野選手「本来は選手がとやかく口を出すことではないのかもしれません。ただ、来年にミラノ・コルティナ2026大会の予選と世界選手権を控えた大事なこの時期に、多くの有力選手がリーグ戦でプレーをできない状況をなんとかしなければいけないという強い思いがありました。これから海外の強豪と一致団結して戦っていこうというときに、仲間同士で争うような状況を見ていられなかったんです。この状況を変えるためには、誰かが何かを言わなきゃいけない。だとしたら、年齢や経験、影響力などを考えたときに、やはり自分の責任なのではないか。そう考えて、あの声明を出すにいたったわけです」

平野選手は7月に自身のSNSで「日本アイスホッケー界に関する声明」という文書を公開し、国内の選手がゲームに出場機会を速やかに確保し、日本のアイスホッケーが今後も盛り上がっていくための環境整備について話し合いの場を設けることを求めた。そこには日本代表辞退の可能性も匂わせるなど、平野選手の強い決意が込められていた。もちろん賛否はあった。しかしどこまでもポジティブで自ら責任を引き受けていく彼の性格上、この問題を黙って見過ごすという選択はなかった。自分の発言で変わるとは思わないが、ひとつのきっかけになればいい。そう考えていた。

平野選手「たとえば、仮にぼくが今後NHLプレーヤーになったとします。また、その後に続くNHL選手が一人二人と登場するかもしれません。しかし、そのとき肝心の日本アイスホッケー界に、裾野を広げ、若い選手や子どもたちを育てていくためにじゅうぶんな土壌がなかったら、なんの意味もありません。そうなってからつくろうとしても、もう遅いんです。たった1チーム、1シーズンのことと思うかもしれませんが、ミラノ・コルティナ2026大会の予選や世界選手権を控えていることを考えると、日本のアイスホッケー界にとっては、これからの運命を左右する1年だと思います」

日本におけるスポーツの知名度でいえば、野球やサッカーは別格として、近年ではバスケットボールやバレーボールなども国内リーグの人気はまだまだこれからとはいえ、日本代表のゲームとなれば地上波でもオンエアされている。それによって多くの人に見てもらうきっかけになり、その視聴者のなかには次世代を担う子どもたちがいるはずだ。ファン層を拡大し、次世代への裾野を広げていく意味でも、日本代表が強くなるとことの意味は大きい。平野選手が昨シーズン、チームとの契約更新を破棄し、日本代表を優先した理由もそこにあった。だからこそ彼は立ち上がり、声明を出したのだろう。

氷上の格闘技に必要な、強くて速い動きを共存できる身体づくり。

アイスホッケーは「氷上の格闘技」とも呼ばれ、身体の大きな選手同士による激しいぶつかり合いが見せ場にもなっている肉体的にハードなスポーツ。平野選手もまた、アメリカやカナダの大きな選手を相手に激しい戦いを日々繰りひろげてきた。日本人は体格的に不利なのではないかと思うが、ご自身によれば平野選手のサイズでちょうど平均レベルだといい、体当たりではまったく負けていないという。そんな平野選手が、ハードなアイスホッケーの本場で戦うための肉体づくりやコンディション管理について聞いてみた。

平野選手「シーズン中は身体をつくるというよりは、状態をキープするためのトレーニング方法をトレーナーが考えてくれて、それを毎日やっています。いっぽうでいまはシーズンオフなので土台づくりの時期。筋肉を新しくつくるトレーニングを自分で考えながら、週4回か5回くらいのペースで取り組んでいます。ベスト体重が93kgくらいなんですが、シーズン中はやはり体重が落ちてしまうので、いつもはだいたい97kgか98kgくらいでシーズンインするんです。でも今年は最初からベスト体重で入って、それをシーズン終わるまで維持しようということで、走り込みによる体力づくりにも取り組んでいます」

平野選手いわく、当たり負けしないようにと身体を大きくしすぎてもダメなのだという。体が大きくなるとそれだけ、一瞬の反応スピードや瞬発性の面で遅くなってしまうためだ。反応スピードを速くし、それに耐えられるだけの瞬発力を高め、なおかつ当たり負けしない強さを維持できるバランスの良い身体。それが彼にとってのベスト体重である93kgなのだそうだ。
身体づくりと体重維持にはトレーニングともうひとつ、食事管理が欠かせない。食事の管理については基本的に自分でやっているという平野選手。食べたら食べたぶんだけ脂肪がしっかりついてしまうタイプだといい、外食時なども栄養面に気を配ることはもちろん、満腹になるまで食べないように気をつけているほか、一日4食に細かく分けて少しずつ補充していくなど、自分自身で考えながら食事を摂るよう工夫しているという。そして毎日サン・クロレラAパウダーを飲むこと。朝食の際にごはんと一緒に摂り、疲れた日は就寝前にも飲むという平野選手。サン・クロレラAパウダーなしには、自分の健康な身体はないとまで言い切る。

平野選手「ぼくは水に混ぜて、イッキです。腰に手を当ててイッキ飲みしています。味が苦手という人もいるみたいですけど、ぼくにとってはふつうにおいしい朝の健康ドリンク。けっこう濃いめでゴクゴク飲んでいます。そうじゃないと飲んだ気がしないんです。最初はルイボスティーとかに入れて飲んだりもしてみたんですけど、なんか違うなと(笑)。やっぱりドロっとした感触がないと身体にいいモノを飲んでる気がしないので、いまは水も少なめにして飲んでいます。サン・クロレラAパウダーの味って、意外とごはんに合うんですよ。お米の甘味とサン・クロレラAパウダー独特の風味が絶妙にマッチしておいしいんです」

ずっと未来だけを見据えてきた平野選手が、いま見ている将来像。

じつは平野選手はサン・クロレラAパウダーを、スクールの子どもたちにも進めているのだという。その理由は、肉体づくりや身体のケア、コンディショニングといった、アスリートに欠かせない、自分の身体への意識を早くから高く持ってもらいたいという思いからなんだそうだ。

平野選手「サン・クロレラAパウダーを飲めばNHLの選手になれるよ、って伝えています。それは単に飲めばプロになれる魔法の薬だよという意味ではなく、食事や身体づくりがとても大事だということを、子どものうちから意識させることが目的です。たとえば毎日飲んでいると、いったい何のために飲んでいるのかと考え始めますよね。考えることでふだん食べるものへの意識にもつながっていくんです。子ども時代の習慣は必ず身につきます。身体づくりや、自分の身体をケアする意識は、アスリートにとって欠かせないもの。それが子どものころからの習慣としてあらかじめ身についているというのは大きいと思います」

そんな平野選手だけに、子どもたちに対しての特別な思いがある。毎年シーズンオフの夏に日本に戻ってきてはスクールを開催し、子どもたちの指導にあたってきた。そこにはもちろん先述のとおり、日本にアイスホッケーというスポーツを根付かせるため、その裾野を広げていくための活動である。日本のアイスホッケー界への恩返しという思いもあるだろう。それもやはりトップランナーとして北米リーグで活躍する自分にしかできない役割があるという責任感も含まれている。

平野選手「海外でプレーする現役選手に教えてもらうことでしか伝わらない部分は、必ずあると思うんです。さっきの身体づくりに関することもそうですし、たとえばなぜこの練習が必要なのか?自分の得意な部分と苦手なことは何なのか?そうしたことを考えながら練習している子と、ただコーチに言われたことをやっているだけの子では、やっぱり伸びが違ってきます。こういったことはプロになってから気づいたことも多く、子どものころからわかっていたらなあと思わせられることが、たくさんありました。だからこそ自分が子どもたちにそれを伝えなければと考えています。『今日の練習のポイントは何だった?』と質問して必ず言語化してもらうようにしているんです。この積み重ねのあるなしで、5年後に大きな差が生まれてきますから」

今回のインタビューで平野裕志朗というアスリートが語ったこと。そのほとんどが自分のことではなく、日本代表がめざすべき道や、アイスホッケー界の未来への提言、そして子どもたちへの思いばかりだった。自分のことはさておいて、つねに外側に目を向けている。そしてなにかトラブルや課題があれば、自らが率先してその責を担う。平野選手というのは、そういう人なのだ。どれだけ環境が困難であっても、置かれた環境のなかで自分ができることにフォーカスする。いかにネガティブな状況に陥っても、ポジティブな解決策を探ろうと声を発する。「まあむかしっから、ぼくは目立ちたがり屋ですから」とはにかむ平野選手。その笑顔の奥には「高い壁に挑むことこそ楽しい」というメッセージと、パイオニアにして求道者として、挑戦を続けてきた彼らしい決意が感じられた。