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Vol.87
頂への、一歩。
モナコでの2シーズンと日本代表での経験、そしてケガを乗り越えてたどり着いた場所で見た景色。

川崎ブレイブサンダース
岡田大河

モナコでの2シーズンと日本代表での経験、そしてケガを乗り越えてたどり着いた場所で見た景色。後編
2025/12/24

2年前にスペインからフランス・モナコへ渡り、ASモナコU21の主力として活躍してきたバスケットボールの若き天才少年・岡田大河。ファーストシーズンとなった昨年はチームを史上初の2位に押し上げる立役者として、チームからもファンからも認められる存在となった。そうして迎えたセカンドシーズンは新チームとの連携に苦しみ、さらにU19日本代表で突きつけられた課題にも向き合った1年だった。

しかしつねに「課題は成長のヒント」だとポジティブに捉える彼は、すでに次なる目標へと歩み始め、日本へと凱旋帰国。挑戦の舞台をBリーグに移した。度重なるケガとの戦いとコンディション管理の重要性、外国人枠の選手としての役割の難しさ、そしてなにより日本でのプレーにかける強い決意など、20代になった岡田大河が立っている現在地を解き明かす。

アグレッシブであるために、ストイックであれ。

スペインからフランス・モナコに移籍して2年。フランスリーグで戦うなかで、フィジカル・メンタル面で大きく進化したことがあるという。それは、タフさとアグレッシブさだ。スペインでは比較的チームバスケを重視するところがあり、戦術やフォーメーションなどの連携が重要となってくる。岡田大河選手はもともとそうしたプレーは得意であり、そうした面でもフィットした部分はあった。しかしフランスはアメリカ寄りのスタイルが好まれ、とくに一対一での勝負にフォーカスしているところが特徴なのだ。それゆえ対面での強さやアグレッシブさが、これまで以上に求められる。彼はスペインで培ったテクニックやチームコントロールといった自身の優位性をより活かすためにも、モナコでは徹底的にタフネスとアグレッシブさを強化してきた。

岡田「アグレッシブさというと攻撃面でのことをイメージしがちですが、守備においても積極性が大事になります。バスケは5対5で行うチームスポーツではありますが、実際には1対1で対峙する局面が多いんですよね。だから1対1で負けないというのは攻守ともに求められます。といってもひとりで強引に抜けということではありません。連携プレーでも周りを生かすにしても、自分が惹きつけてそこで負けないプレーができれば確実にアドバンテージができる。だから1対1で勝ち切るというのも立派なチームプレーなんだとうことです」

しかし、それだけ連日タフなゲームや練習を続けていると、当然のこととして身体は悲鳴を上げることになる。プロとして安定したパフォーマンスを維持するためには日々の身体づくりや健康管理は、所属するチームやリーグのレベルが上がれば上がるほど、不可欠なものとなってくる。

そんななかで岡田大河選手は、意識して習慣づけていることとして、まず睡眠の重要性を挙げている。彼は最低でも8時間は寝るようにしていて、平日の場合10時には眠り、朝は6時に起きるようにしている。睡眠時間によって練習や試合でのパフォーマンスに大きく差が出ることを痛感していたからだ。また同時に誰よりもはやく練習場に到着して、できるだけ自分一人だけでゴールを使う時間を確保したい、とう思いもあった。そしてもうひとつが食事と栄養管理だ。

岡田「お昼はチームの用意した食事を摂っていますが、朝と夜の食事は自炊をしていたので、サン・クロレラにはすごく助けられてきました。基本的には毎朝、食事と一緒に摂ることにしています。遠征のときに便利なので最近は粒タイプを飲むことが多いですね。自宅ではパウダーをシェイカーで水に溶かして飲んでいます。また朝・昼・夜の3食で1日分の必要な栄養が足りてないかなと感じたら夜に飲んだり、前日足りていないなと思ったら朝に飲んだり、あと練習や試合がハードで身体に疲れが残っているなと感じたときにはいつもより飲む量を増やすなど、自分自身の身体の声を聞きながら、その時々に応じて飲む量やタイミングも調整しています」

バスケ人生最大のケガが促した、メンタル面での成長。

昨年はケガに悩まされた不運なシーズンだった。とりわけ左足のケガは、バスケットボール人生最大のピンチといってもいい厳しいものだった。しかし彼自身のその後の懸命なリハビリと早く復帰したいという強い思い、そしてこれまで以上にケガをしない身体づくりにも取り組んだことで完治。その経験と危機感から学んだいまの彼は、日々のストレッチをこれまで以上に入念に行うようになるなど、むしろアスリートとしての完成度をさらに増したといってもいい状態に仕上がっている。

岡田「毎日の朝練の前と夜寝る前には必ず行い、さらには夕方の練習前にも1時間半早く入って1時間はストレッチに時間を費やすようにしていました。もちろんケアという意味でもありますが、とくにケガをした部位が弱くなっているのを感じたので、そこを入念に鍛えるためでもありました。とくにケガが治った直後は、誰よりも時間をかけて入念にウォーミングアップをして、つねにケガをしないための準備を意識するようになりました。ケガを庇ってプレーしていると、痛めていない別の部分をケガすることもあるので。やっぱりケガは怖いなと初めて本気で思ったシーズンだったかもしれません」

通常の練習に加えて、朝と夜にルーティンとして長い時間をかけてストレッチをやろうとすると、どうしてもそのぶんプライベートな時間を削ることになってしまう。シュート練習やチーム練習など、直接的に自分のプレーを向上する練習と違い、身体のケアにつながるストレッチはどうしたって地味な作業であり、ついサボりがちだ。しかし、岡田大河選手は今回の怪我を通じて、一流の選手であるためにはその地味なトレーニングをサボらずルーティンとして継続することの大事さをあらためて感じたという。そしてそれは、やはり大きなケガをしたから理解できたことなのだ。どんなにネガティブなことからでも、ポジティブに学ぶ姿勢。プロとして、その大切さを痛感できたことも、自分にとってひとつ大きな成長の階段を登ったモナコでの2年だったと語った。

そしてついに岡田大河の戦いの舞台は、日本のBリーグへ。

そして2025年の秋、日本のバスケ界に驚くべきニュースが飛び込んできた。岡田大河選手が新シーズンを日本のBリーグ 川崎ブレイブサンダースでプレーすることを決断したのだ。もちろんさまざまな理由があってのことだが、最大の理由は、新たなプレーの選択肢を自分のなかに取り込み、これまでとは異なるスタイルのバスケットを学ぶことで、自らのプレーの幅を広げるためだった。また彼は「日本のバスケットファンの方々に、自分の活動を知ってもらえる良い機会だと思っています」との期待も語っている。

彼がわずか15歳の頃からスペインに渡って磨き上げてきたでプレーメイキング、とりわけ周りを活かしてズレを作ったり、ゲームをコントロールするスキルに関しては突出したものがあり、日本のBリーグでもじゅうぶん活きてくると自信を持っている。また当たりの強いモナコでの2年間で大きく成長した対人での強さも見どころだといえるだろう。そしてなによりピックアンドロールやノールックパスなど、ヨーロッパでも定評があった彼の高いバスケットスキルにも注目してほしい。

岡田「川崎ブレイブサンダースの一員として何試合かプレーした感想としては、ゲームをコントロールするというこれまでの自分の役割に変わりはなく、そこはスペインやモナコとBリーグにとくに違いは感じていません。ただ、まだプレーのリズムに少し感覚のズレがあって、日本でのプレースタイルにアジャストしきれてない部分があるので、そこは修正していきたいと考えています。とにかくシーズンを通して、コンスタントに良いパフォーマンスが出来るよう積極的にプレーしたいと思っています」

満を持して日本のBリーグの舞台でのプレーを選択した今季の岡田大河選手。10代半ばというこれまでの日本バスケ界では類稀なる若さで世界を舞台に飛び出し、各年代で結果を出してきた彼の日本への凱旋は、Bリーグにとってはもちろんのこと、日本代表にとっても多大なプラス効果が期待できるのではないだろうか。これまでここで彼の記事を読んでくれた方々の中でも、なかなか彼のプレーを実際に見ることができなかった人も少なくないだろう。しかし今季は、試合会場であるいはテレビやネットの生中継で、たっぷりと観戦することができるのだ。15歳の渡欧からおよそ6年。今回を機に彼を知ったという人も、長きにわたってともに彼の成長を見てきた人にも、岡田大河選手という“逆輸入スター”の今季のプレーに注目してもらいたい。