合谷 和弘
ラグビー/7人制ラグビー日本代表
15人制のラグビー日本代表がワールドカップイングランド大会で3勝し、空前のラグビーブームを起こしていた折、7人制日本代表もオリンピックリオデジャネイロ大会行きを決めた。2015年秋のアジア予選で、出場権を勝ち取ったのだ。合谷和弘もその一員だった。
「自分で切符を掴んだわけなので、オリンピックにも出たいと思いました」
大会開催年は、少数精鋭の候補選手団が読谷、広島、網走、札幌、成田、シドニー、鹿児島で合計約3か月の合宿を張る。見据えていたのは、大会全体ではなく大会の初戦。優勝候補のニュージーランド代表との予選プール第1戦にのみ焦点を絞り、敵地でオーストラリア代表と合同練習をした際も「相手をニュージーランドだと思って試合をしろと言われていた」と合谷は証言する。
「他の試合は、自分たちのラグビーをしていれば絶対に勝てる。だから、まずはニュージーランド代表戦だけにフォーカスしろ……と」
まずはボール保持者が簡単に捕まらぬよう、細かくパスを回すよう徹底した。自分たちの攻撃時間を増やせば増やすほど、相手の迫力ある攻撃を食らわずに済むからだ。相手が反則をした際も、ゆっくりタッチラインの外に蹴り出して時間を削った。一方で守りに回った際は、鋭い出足の2人がかりでのタックルを徹底することとした。
内定選手は、鹿児島にいる間に決まった。先頭に立つのは、辛いトレーニングの時も笑顔を絶やさない桑水流裕策キャプテン。他には後に15人制でも大暴れするレメキ ロマノ ラヴァや德永祥尭、イングランド大会のメンバーだった福岡堅樹、ずっと7人制日本代表を支えてきた坂井克之に羽野一志と、多士済々の精鋭が海を渡ることとなった。
決戦のあった現地時間8月6日。瀬川のプロジェクトは見事に、成功した。14‐12。合谷も、歓喜の只中にいた。
「当日はひとりひとりがニュージーランド代表に仕掛けて、当たり負けもしていなかった。いけるぞ、と、最初の2分くらいで感じられました。オリンピック前はずっと同じメンバーで合宿をしていて、そこで結束が出たのもよかったです」
リオデジャネイロ大会のあった2016年、合谷は15人制トップリーグのクボタにも新加入していた。当初は「クボタからも7人制での活動を応援している」と背中を押され、2020年の東京大会を見据えた。
ところがその2016年、ルーキーながらクボタのレギュラーになると状況が変わる。「正直、1年目はそこまで試合に出るとは思っていなかった」という嬉しい誤算が、オリンピアンの計画を微妙に変えた。
「(トップリーグで)試合に出してもらうようになると、『トップリーグがない時期だったら(可能)』と言われるように。2、3年目(2017、18年)もその状態でした。リオデジャネイロ大会終了後から2020年の東京大会を目指していたのですが、代表活動に参加できるのは年に1回程度でした。(リオデジャネイロ大会終了後、男子7人制日本代表の)メンバーが凄く変わりましたよね。辛い状況は続いていたと思いますが、そこに行けない自分もいて。トップリーグで所属しているチームで活躍しなくてはいけない事情もある……。申し訳なさも感じていました」
男子7人制日本代表では2017年からニュージーランド出身のダミアン・カラウナ氏がヘッドコーチに就任も、2018年6月からは男女7人制日本代表総監督だった岩渕健輔が指揮官を務める。流れを変えるための交代だった。
15人制でも国内所属先のクボタで活躍する合谷は、いまの男子7人制日本代表を「瀬川さんの時と同じように、結束力が感じられる」。現代表は心理学や睡眠のエキスパートを招聘したり、毎朝選手の唾液を採って疲労度を調べたりと、芝の外での準備も手厚い。
この先は7人制に専念できるよう調整中の合谷。まだまだ20代半ばと若いが、シニアプレーヤーとしての態度を貫きたい。
「今年(2019年)からは、オリンピック東京大会に向けて7人制に専念したいと思っています。クボタも、応援してくれている。いまは瀬川さんの時よりも、選手同士で考える時間が増えています。ここでのコミュニケーションによって、結束力が生まれている。それまで喋れなかったような選手も喋れるようになっていて、もっと強くなれるような感じがしています。僕は正直、以前はそこまで喋るタイプの選手ではありませんでした。ただいまは、自分からも積極的に話すようにはなっています。チームを引っ張っていく選手を支えていけたらと思っています」
現在は故障療養中も、完治次第での復帰が待たれる。長距離移動、異なる環境下での真剣勝負と様々な障壁と直面するだろうが、強力な援軍を味方につけている。
遠征先のバッグには、2018年秋から愛用する『サン・クロレラ A パウダー』を用意。現地の食事に左右されず、好調を保つためだ。
「ウェイトトレーニング後、プロテインと一緒に『サン・クロレラ A パウダー』を摂っています。すごく疲れた時は昼や夜にも口にします。豆乳に混ぜて口にしてもおいしいですね。個人的には、飲み始めてからはコンディションが良くなった気がしています。代表チームについている栄養士さんからは、『海外の生野菜は気を付けた方がいい』と言われています。だから『サン・クロレラ A パウダー』で野菜に含まれる栄養素が摂れるのは嬉しいですね。おかげで、海外でのコンディションの良さも感じています。前回のリオデジャネイロ大会ではメダルが獲れなかった。今度の東京大会では絶対にメダルを獲ろうと思っています。それが、いままで支えてくれた家族や高校、大学の監督、所属チーム、会社への恩返しになる」。
福岡で楕円球と出会い、千葉で身体を作り、いまは世界各国で経験を積む合谷。自国開催の大舞台でメダルを勝ち取りたい。