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2022/08/12
アスリートフードマイスターに聞く!Vol.19 テニス編 日比野 菜緒 選手

【アスリートフードマイスターに聞く!Vol.19 テニス編 日比野 菜緒 選手】

管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格をもつ奥村(生産開発部研究開発グループ所属)が今回チェックするアスリートは、世界を舞台に闘うプロテニスプレーヤーの日比野菜緒選手(27)。2013年にプロ転向後、2016年はWTAランキングにおいて自己最高の56位をマークした。2020年には全豪と全仏で初の初戦突破を果たすなど戦績を積み上げ、日本ランキング1位を獲得。2016年のリオ五輪、2021年の東京五輪では日の丸を背負って出場したキャリアをもち、これからの日本のテニス界をけん引する存在としても期待が大きい。そんな日比野選手に対して、奥村はテニスプレーヤーに適した食事・栄養管理や、間食の摂り方などについてアドバイスを送った。

1日の食事記録をチェック

はじめに、回答いただいたアンケート結果を整理します。日比野選手は身長162㌢、体重58㌔(空腹時)。トレーニング頻度は週6~7日です。1日の野菜の摂取量は小鉢2~3杯以上、果物は週6~7日食べています。牛乳・乳製品を摂る頻度は週1日以下で、日比野選手自身が感じている問題として「間食が多い」という点を挙げています。1日の食事・活動記録は以下の通りです。

日比野選手は食事・栄養管理に対しての意識が高く、パフォーマンス向上のため自身に合った食事の摂り方を実践していることがうかがえます。例えば、牛肉を食べると身体が重くなりプレーに悪影響が出るため試合期間中は食べないようにしたり、乳製品は体に合わないため極力摂らないようにしたりするなど気をつけています。
アンケート結果の食事メニューをみても、身体が重くならないように油を使った料理を少なくし、朝食ではたんぱく質源にヘンプシードを選んでいる点はいいと思いました。ヘンプシードとは消化に優れた良質なたんぱく質が豊富で、海外を中心に健康食材の一つとして注目を集めています。さらに特長として、便秘の予防、整腸効果のある食物繊維が豊富に含まれている点が挙げられます。

瞬発力・持久力をつけるための食事

テニスは瞬発力が求められるため、筋肉への負荷が大きいです。さらに長時間の試合に耐えうる持久力も必要になります。その持久力は、エネルギー源となる糖質を含むご飯やパンなどから主につくられます。また筋肉の材料となるたんぱく質は、肉や魚、卵、大豆製品などから主につくられ、これらを毎食欠かさず食べることが重要です。その点をふまえて日比野選手の記録をみると、糖質をグラノーラ、パン、ご飯から摂り、たんぱく質はヘンプシード、ハム、チーズ、豚肉と卵、蒸し鶏できちんと摂れていました。

糖質がエネルギーとして作られ、たんぱく質が筋肉として作られるにはビタミンやミネラルが必須です。ビタミン、ミネラルは先程紹介したような糖質やたんぱく質を多く含む食品にも含まれていますが、野菜、海藻、いも、果物などにも多く含まれるため併せて食べることが効果的です。
食事記録では野菜を1日小鉢2~3杯、果物を週6~7日の頻度で摂っているので今後も継続してほしいと思います。

チョコレートの間食をおにぎり・果物に替えて疲労回復を図る

次に、日比野選手が自覚している問題点として、「間食が多い」ことを挙げていました。日比野選手が間食のメニューとしてよく選んでいるのがチョコレート、クッキー、フルーツでした。大好きなものを食べることもストレス解消の面で大事であるため、一定の範囲内で摂ることは大切です。

ただ、ストレス解消の目的だけでなく、「ただお腹を満たしたい」という意図でチョコレートやクッキーなどのお菓子を食べている場合は注意が必要でしょう。具体的な対策としては、チョコレートやクッキーよりもエネルギー源となる糖質を多く含むおにぎりやバナナ、オレンジなどを食べることをお勧めします。日比野選手のスケジュールをみると、練習後にも間食を摂っていますが、このときのコンディションは、ハードな練習でエネルギーを多く使って疲労が溜まっている状態です。疲労回復のためにはエネルギー源となる糖質の摂取が望ましいため、お菓子ではなくおにぎり、バナナ、オレンジを食べることが望ましいです。

また体重測定をする頻度が月1回未満でしたが、食事量が適切かどうか身体の状態を把握するためにも毎日実施した方が良いでしょう。体重を測るタイミングとしては、朝起きてトイレをした後がオススメです。全般的な食事・栄養管理についてはすでに意識高く取り組んでいるため、今後の活躍のためにも現在の食生活を継続してほしいと思います。

  チェック時点ですでに自身の体調に適した食事・栄養管理をハイレベルで徹底していた日比野選手。奥村からは間食についてのアドバイスなどを受け、「これからはビタミンやミネラルを摂るために、間食をフルーツや大好きな焼き芋に変えていこうと思う」と実践に向けて意気込みを語った。二度の五輪出場をはじめ、国際大会において確かな足跡を残して迎えたプロ17年目。年齢的にもベテランと呼ばれる立ち位置となり、技術・精神は日々円熟味を増している。「これからも食事に気をつけながら、楽しみつつレベルアップしていきたいと思います」。一切の迷いもなく、見据えている舞台は2024年パリ五輪。再び日の丸を背負い、大観衆の前でプレーする自分の姿をイメージしながら、ひたむきに一歩一歩進んでいく。

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