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2021/03/22
アスリートフードマイスターに聞く!Vol.11 アイスホッケー編 平野裕志朗選手

【アスリートフードマイスターに聞く!Vol.11 アイスホッケー編 平野裕志朗選手】

管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格を持つ奥村(生産開発部研究開発グループ所属)がチェックするのは、「横浜GRITS」に所属するアイスホッケープレーヤー・平野裕志朗選手(25)。父親の影響から、わずか3歳でアイスホッケーを始め、今年でプロ7年目を迎えた。現在は世界の舞台で戦うまでに成長し、日本代表チームをけん引する存在でもある。「氷上の格闘技」とも呼ばれるアイスホッケー。スピードとパワーの両方を求められる激しい競技を戦う上で、丈夫な体づくりは欠かせない。今回実施したアンケートの結果から、奥村は平野選手の「たんぱく質と糖質のバランス」などに改善点を見つけた。

1日の食事記録をチェック

 はじめにアンケート結果を整理します。身体測定値は身長185センチ、体重97キロ(空腹時)。トレーニング頻度は週4~5日。1日の野菜摂取量は小鉢4~5杯で、果物は週2~3日。また牛乳・乳製品は週4~5日の頻度で摂っているとのこと。ご回答いただいた1日の食事記録は以下の通りです。

平野選手はプロテインのほかにも、必須アミノ酸であるBCAA、HMBを含むサプリメントを飲んでいます。また摂取している野菜も、ほうれん草、ねぎ、ニラ、ブロッコリー、アスパラ等と幅広く、小鉢4~5杯と量も多くて素晴らしいと思いました。
一方で気になった点は、一日の炭水化物の摂取が「朝食のトースト1枚」、「昼食のうどん」だけであることです。これらだけでは炭水化物の量が少ないほか、食事とサプリメントによるたんぱく質の摂取量が多く、バランスが悪い状態となっています。炭水化物に含まれる糖質は体を維持するために必要なエネルギー源です。そのため、糖質の摂取量が少なければ、筋肉の材料であるたんぱく質からエネルギーがつくられてしまいます。その結果、筋肉量が減少する恐れがあります。今回は、主にこの点についてアドバイスをしていきたいと思います。

お米やパンで糖質量を増やす

 糖質量が不足すると脳に使われるエネルギーが不足し、注意力や集中力が低下してケガをするリスクが高まります。平野選手は、試合がある週の4日間は夕食にお米を食べているとのことですが、可能であれば少量でも良いので毎日摂ってほしいと思います。
また、たんぱく質はたくさん摂取しても、体のたんぱく質合成に利用される上限は体重1kgあたり2g程度といわれており、それ以上の摂取は効果がないとされています。現在、平野選手が摂取されているたんぱく質の量は体重1kgあたり約2g。しかし前述の通り、糖質の摂取量の不足が考えられるため、たんぱく質の量を少し減らして、お米やパン等の糖質を摂るように意識してみてください。筋力・瞬発系のアスリートにおいて、たんぱく質の1日摂取量は体重1kgあたり1.7~1.8gが推奨されています。そのため、サプリメントから摂取するたんぱく質量30gを考慮して、食事からは1日140gを摂取できれば良いと考えます。
さらに、たんぱく質は朝昼夕の3食で均等に摂ることが筋肉の合成にも良いと報告されています。たんぱく質はご飯やパン、野菜にも含まれているので、3食と補食で140gのたんぱく質を摂れる食事として、以下のようなメニューを参考にしてみてはいかがでしょうか。

 たんぱく質を多く含む食品のお肉、お魚、卵、大豆は上記のメニュー内容で十分な量を摂取できます。また、平野選手の体重と身体活動レベルに合わせて算出したエネルギー必要量と照らし合わせると、ご飯やパン等、糖質の量が少ないので、運動量に合わせて糖質の量を増やしていただけたらと思います。たんぱく質を多く含む食品の選び方は、1食ごとにお肉や卵など1種類から多く摂るのではなく、他のたんぱく質の食品を複数組み合わせて食べることをお勧めします。上記の食事例でも提案していますが、夜に食べていたささみ300gを150gにして、納豆1パックをつけることで、たんぱく質だけでなく、大豆製品に豊富に含まれるカルシウムを摂ることができます。このように、食材はいつくかの種類をバランス良く組み合わせることで、他の栄養素も幅広く摂ることができます。

■ 飲酒頻度や夜遅い時間の食事に注意

 最後に糖質やたんぱく質の摂取以外に、お酒の飲み方についてのアドバイスです。まず、アンケート結果によると、お酒を飲む頻度は週4~5日。アルコールはストレス解消にはなりますが、肝臓に負担を掛けてしまい疲労回復の遅れにもつながります。アルコールの分解にはビタミン、ミネラルが消耗されるため、アスリートに必要な栄養素が損失してしまうのです。
適度な飲酒として1日平均純アルコールで10g程度を推奨されていて、だいたいビールのミニ缶1本(250ml)の量に当たります。平野選手は飲酒の頻度・量のいずれも多いので、まずは練習が無い日の前日に飲む等、調整してみてはいかがでしょうか。また既に実践されているかもしれませんが、飲酒時の注意点として脱水のリスクがあるため、水も一緒に飲むようにしてください。
さらに、21時以降に飲食する頻度が週4~5日と多いことが気になります。21時以降に食べると、胃腸に負担をかけてしまい睡眠に影響を与えるだけでなく、体脂肪がつきやすくなることが知られています。食事記録の夕食メニューでは、血糖値の上昇や脂肪の吸収を抑える働きがある食物繊維を多く含む野菜やきのこを食べられていました。その点は良かったですが、なるべく21時前には済ませるようにしましょう。日々コンディションに合わせて食事メニューを考えられていると思いますが、今後は「たんぱく質と糖質のバランス」を意識することに加え、お酒を飲まれる回数や量にも気をつけていただけたらと思います。

 今回の栄養管理チェックでは、「たんぱく質と糖質のバランス」などをはじめ、いくつかの改善点が見つかった。炭水化物の摂取量が少ないと糖質が不足し、筋肉からエネルギーがつくられ、減少してしまう悪循環━。これを脱却すべく、奥村が例示した食事メニューなどはアイスホッケー競技以外のアスリートにも参考になるだろう。「時には外食することもあるので、そこでの食事も気を付けていきたい。足りていないものを今回的確にご指導いただいた。あとはアドバイスを実践するのみです」。平野選手はそう意気込みを語った。見据えているのは、さらなる高み。食事もトレーニングの一環として、改善点を「伸びしろ」に昇華させ、彼の氷上のパフォーマンスは今後さらなる向上を見せていくのだろう。

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