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vol.16
ブルーの凱歌が、聴こえる。

西村 大介
(滋賀レイクスターズ代表取締役社長 兼 ゼネラルマネージャー)
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ショーン・デニス
(滋賀レイクスターズヘッドコーチ)
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中山 佑介
(滋賀レイクスターズ パフォーマンススーパーバイザー)
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中山 太
(サン・クロレラ代表取締役社長)

ブルーの凱歌が、聴こえる。後編
2020/02/14

この記事はSunChloLetter Issue05(2019年12月発行)の転載です。

 

強者としての、ストラテジー

中山:フィジカル面での強化についてはよくわかりました。それ以外で今シーズンとくに大きな変化などはありますか?

西村GM:コミュニケーションと戦術理解の面で大きく進歩したと思います。たとえばハーフタイムにロッカールームに入ると、選手たちがコーチよりも先に話し始めていることがあります。私は一昨年からチームを見ていますが、これまで選手の多くはコーチに言われていることをただ黙って聞いているだけでした。でも去年からみんな少しずつ話すようになり、チームとしてとてもいい雰囲気になってきました。選手自身が考え、戦術やプレイの改善点を話し合っている光景が見られるようになったのです。

中山:それはなぜだと思いますか?

西村GM:ひとえにショーンのチームづくりが選手たちのあいだに浸透してきたのだと思います。彼はふだんから『いいことも悪いことも、互いに話しあおう』と選手たちに言っていました。またメンタルセッションなども取り入れてやってきましたので、それが少しずつ成果を出してきたんだと思います。

中山:ではショーン・デニスHCに伺います。いまチームとして重視していることはなんですか?

ショーン・デニスHC:まずはこのチームのアイデンティティをしっかり発揮すること。そして、それを発揮することでより勝つチャンスを増やしていくこと。そこにフォーカスしています。たとえばシュートが入らなかったときや自分たちのプレイが相手に阻まれた場面で、選手たちがスコアボードの得点表示に気をとられて試合そのものに集中できていないことがしばしば見受けられます。目の前の勝敗ばかり気にしてしまい、本来チームとしてやるべきプレイとは違うことをやってしまうことがあるのです。しかし、私としては自分たちが上手くできているプレイや、私たちの強みの部分にフォーカスして試合をすることを継続していきたい。それができれば、勝敗は後で必ずついて来ると私は信じているからです。

中山:レイクスターズの強みという点では、斎藤選手やウォーカー選手を中心に、コンビネーションプレイがすごく良くなっていますよね?

ショーン・デニスHC:斎藤選手とウォーカー選手はピック&ロールというプレイが得意なプレイヤーなので、彼らのいいところがゲームで活きるようになってきました。また他の選手についても、チームのシステムや戦術にフィットしていけば、それぞれの選手が自らのスキルを最大限に発揮できるようになるので、それらがうまく噛み合ってくれば、今後もっと良くなっていくと信じています。

中山:先ほどシーズンオフのフィジカル強化を中心に話を聞きました。いまのショーン・デニスHCの話を受け、シーズンが始まってからのトレーニングになにか変化などはあるのでしょうか?

中山佑介PSV:オフシーズンとシーズンに入ってからでは、当然トレーニングにおいてフォーカスする部分は異なります。オフシーズンでのトレーニングではフィジカルの強化を最優先したプログラムを実施し、先ほど西村GMからもお話がありましたが、選手もそれを達成できていることは実感してくれていると思います。次にシーズンに入ってから大事になってくるところは、先ほどショーンも言っていたように、自分たちの良さを1試合あるいはシーズン通して発揮できるようにすることです。スケジュールはタイトで疲労もたまる。そこで疲労を回復させることはとても大事なことですが、いっぽうでただ休ませればいいという発想ではシーズン終盤で必ずコンディションも同時に落ちてしまうでしょう。そこはショーンを始めチームスタッフとも連携しながら、トレーニングの強度と頻度とボリューム、これらをバランス良く調整し、オフシーズンで培ってきた強化トレーニングをベースにしたプログラムをシーズン通して取り組むようにしています。あとはオフに選手たちがぼくのトレーニング方法を信じてくれたように、こんどは彼らが試合で結果を出してくれることを、ぼくが信じる番です。

西村GM:多くのトレーナーのアドバイスは、あくまでウェイトトレーニングの専門家としてのものだったりするのですが、中山佑介PSVはバスケットボールという競技のこともわかったうえで、バスケットボールに必要なウェイトトレーニングを考えてくれている。そこが横で見ていてすごいなあと思うところです。しかも選手ひとりひとりの疲労度を把握したうえで日々メニューを変えているんですよ。たとえばいまはバスケットのスキルを上げる時だからこのメニューは抑えましょうとか、いまは身体づくりの時だからこれを多めにやりましょうということをコントロールしてくれている。これはなかなかできないことです。

中山:あと、見ていて感じるのは、佑介PSVとショーン・デニスHCとの相性もすごく良いですよね?

西村GM:そうなんです!じつは私のバックグラウンドは京都大学のアメリカンフットボール選手であり、コーチ・監督としてチームを率いた経験もあるのですが、正直にいってバスケットボール選手というのはアメフト経験者から見ると身体づくりの面では弱いと感じる部分があります。そして、どちらかというとコーチとトレーナーというのは敵対関係にあるケースが多い(笑)。コーチはなるべくたくさん練習させたいのにトレーナーは休ませろと言ってくるのでね。でもふたりの場合はそこをしっかりコミュニケーションをとり、良い関係性を築けています。中山佑介PSVも言っていたように疲労回復はもちろん重要なことなのですが、身体的疲労度を減らしすぎるとメンタルの部分までダウンしてしまうことがあるので、いいバランスを保つのは難しい。そこをふたりはよくわかってやってくれている。正直なところこんなトレーナーがぼくの時にもいたらなあと羨ましい限りです(笑)。

中山:佑介PSVは、そのあたりいかがですか?

中山佑介PSV:ショーンは、これまでぼくが仕事してきたコーチの中でもっとも仕事がしやすいコーチのひとりです。これはもう間違いない。その理由は、彼はトレーニングに対する知識をじゅうぶん持っているので専門的な話であってもしっかりと通じ合えるところです。おかげで強い信頼関係を前提にしたコミュニケーションができていると思います。またそれはショーンだけではなく、チームスタッフ全員にも当てはまると思います。選手ひとりひとりプログラムは違いますし、その時の疲労度や肉体の状況などに応じてメニューも変更していかなければなりません。それは、ぼくひとりでは到底できないことで、チームスタッフの支えがあるからこそ可能になっているところです。選手たちがどんなトレーニングをどのように行ったかを把握できるよう、コンピュータープログラムですべてを管理し、その情報をもとに、毎日のように彼らとつねに連絡を取りあっています。ぼくのほうからサジェスチョンをすることもあれば、彼らからもフィードバックをもらうこともあります。そうやって、日々プログラムやメニューを更新しています。

西村GM:それから疲労もそうですが、ケガについても考えなければなりません。Bリーグはとても過密な日程のなかで試合が行われていますので、いかにケガ人を出さないかということは、チームマネジメントとしてとても重要です。まだ7試合終わったところであるにもかかわらず、他のチームではすでに主力選手でも相当なケガ人が出ています。われわれは昨年も大きなケガをした選手は出ていませんが、今季なんとかそれを継続できています。それには中山佑介PSVによるコンディショニングだけでなく、サン・クロレラさんからご提供いただいている製品も大きな貢献をしてくれています。スポンサー企業さんもチームの一員としてサポートしている。そういう環境でチームを運営できていることに、とても感謝しています。

中山:どれほどの実績があっても、いかに能力の高い選手でも、ケガで出場できなければチームに貢献できないわけですからね。

中山佑介PSV:そうなんです。トレーニングをする目的のひとつに『ケガの防止』というのも間違いなく含まれています。ただし、ケガというのはどれだけ注意していても起きるもの。ケガをした場合の回復を早める準備としてもトレーニングは行われているのです。ケガをしてしまったときに、より早く戻ることや、より強くなって戻ってこられることが大切。それはトレーニングだけじゃなくて、サポートしていただいているサン・クロレラさんの栄養面からのアプローチも含めて、できるだけ短い期間で選手が戻ってこられるような環境ができていると実感しています。プレイの強度を強めることはもちろん、ケガをしない身体づくりや、ケガをしたときに早くリカバリーすることまで、これらすべてがトレーニングをする目的でもあるのです。

中山:では最後に今後のビジョンを語っていただきたいと思います。まずは現場のトップとしてショーン・デニスHCからお願いします。

ショーン・デニスHC:いちばんの目標はやはり自分たちのストロングポイントにフォーカスして、われわれが理想とするプレイを1試合通してコンスタントにできるようにすることです。それができるようになれば、必然的に自分たちの持っているポテンシャルも発揮できるようになると思いますし、最終的に勝利という結果にも結びついてくると信じています。その継続がチャンピオンシップ出場という、より高い目標への第一歩となるでしょう。そしてチャンピオンシップというステージでも、われわれの理想的なバスケットボールができるようになれば、優勝という大きなチャンスをつかむことも決して不可能ではありません。ですから、やはりチームとしては、レイクスターズのアイデンティティをゲームで表現すること。それをスタートラインとして戦っていきたいと思います。

中山:いまのショーン・デニスHCのお話は、当然のことながらそれを達成するために必要な身体づくりやコンディションづくりという話にもつながるわけですよね?

中山佑介PSV:もちろん、そういうことですね。なんといってもぼくはバスケットをコーチすることはできないので、それをできるようになるための土台づくりというか、準備をしておくことがぼくに与えられている使命だと思っています。

中山:チームを率いるコーチが掲げる目標や、トレーナーとしての使命というおふたりのお話を受けて、最後に今季や来季以降を含めたチーム全体の目標を教えてください。

西村GM:はい。まず今季でいえばチャンピオンシップに進出すること。われわれは『滋賀に元気と誇りを』というスローガンを掲げているのですが、県民のみなさまやブースターの人たちに元気や誇りを持ってもらうためには、やはりチームとして勝つことが求められると思っています。それについては、先ほどショーンや中山佑介PSVが話してくてれたことを実践していけば可能だと信じているのでまったく心配はしていません。次にクラブとして取り組んでいきたいのは社会貢献の部分ですね。すでに琵琶湖の清掃活動は定期的にやっていますし、子どもたちの交通事故防止のための「レイクスターズオリジナル飛び出し坊や」の設置なども展開してきました。小学生向けのバスケットボール教室も定期的に開催しています。さらに今後は、滋賀にバスケットボール文化、スポーツを楽しむ文化を根付かせていく活動をしていきたい。
なにしろわれわれは滋賀で唯一のトッププロチームなので、バスケットボール以外のフィールドでも、滋賀の人たちに貢献できることが、まだまだたくさんあるはずです。たとえば、サン・クロレラさんが協賛されているびわ湖レイクサイドマラソンという大会があります。11回目の開催になる次の大会からコスプレをして走ってみようとか、給水所でランナーに水を渡すスポーツボランティアなんかにもチャレンジしてみたいといったさまざまなアイデアも出ています。

中山:今日みなさんのお話を伺っていて、あらためて感じたことがあります。チームを外からサポートする立場の人間として最大の願いは、やはりレイクスターズが西地区に所属しているチームのなかで最初にBリーグ制覇を成し遂げるようなチームになってもらいたいということ。それはチームのひとつの達成というだけにとどまらず、滋賀県の人たちみんなの誇りにもなると思うからです。単にスポーツチームのスポンサーとしてだけでなく、滋賀全体の元気をサポートできるとしたら、スポンサー企業としてこれほどサポートしがいのあることはありません。先日、シーズン開幕前にレイクスターズのスポンサーが集まるパーティーでいろんな人とお話しする機会があったのですが、そこでもやはりチームの勝利を願う声が数多く出ていました。それはスポンサー企業のみならず、そばで応援している人たちすべての率直な気持ちではないかと感じました。まずはレイクスターズがいま以上に滋賀に根付くこと。そして、より多くのファンがアリーナに足を運んでくれるような人気チームへと成長していくこと。そのためのサポートをさせていただくことが最優先だと考えています。その決意を新たにしたインタビューになりました。みなさん、本日はありがとうございました。

西村 大介
滋賀レイクスターズ代表取締役社長 兼 ゼネラルマネージャー
1977年生まれ。京都大学アメリカンフットボール部ギャングスターズ前監督。小中高とバスケットボール部に所属していたが京大進学時にアメフトに転向。甲子園ボウルでの優勝やドイツW杯で日本代表に選ばれるなど活躍した。2006年から京大アメフト部のコーチ・監督を歴任。昨年より滋賀レイクスターズの代表取締役社長兼ゼネラルマネージャーに就任した。
ショーン・デニス
滋賀レイクスターズヘッドコーチ
1965年生まれ。ニュージーランド女子ジュニア代表チームのヘッドコーチやオーストラリアプロリーグNBLのダウンヒル・クロコダイルズアシスタントコーチを歴任。数々のコーチオブザイヤー賞を受賞している。2016年にはBリーグの栃木ブレックスにてアシスタントコーチとしてチームの優勝に貢献した。
中山 佑介
滋賀レイクスターズパフォーマンススーパーバイザー
1983年生まれ。アメリカの大学院でスポーツ科学博士の資格を取得。5年間にわたってアメリカNBAの強豪クリーブランド・キャバリアーズにてレブロン・ジェームズ選手らの健康管理やパフォーマンス向上を支える立場でNBA優勝に貢献するなど活躍してきた。昨年、日本に帰国。滋賀県にパーソナルトレーニングジムを開業し、レイクスターズのトレーニング指導を務めている。