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vol.17
やっとたどり着いた、日々努力
小さな体と強い心

あい
(総合格闘家)

やっとたどり着いた、日々努力 前編
2020/04/10

プロデビュー以来、5連勝と破竹の快進撃を続ける女子総合格闘家がいる。いまは亡き山本”KID”徳郁が開いたKRAZY BEEに所属する「あい」だ。

名前だけにした理由を聞くと、彼女は笑顔とともに答えた。
「他の方とかぶらない平仮名の『あい』がいいと思いました。リングでは観客の声援がよく聞えるので、それがパワーになります」

幼稚園から始めたレスリング

身長156㎝と小柄。その愛くるしいルックスだけで判断すると、とても格闘家とは思えない。
しかし、KRAZY BEEの現役ファイターでは最年長で元ONE FC世界ライト級王者・朴光哲は証言する。
「外見とは裏腹に、気持ちの面では間違いなくウチで一番強いですね」
いったい彼女は何者なのか。格闘技歴は幼稚園時代までさかのぼる。
「正直ハッキリ覚えていないけど、幼少期の頃です。親がイジメられないように始めさせたと聞いています」
最初に所属したクラブは日体パンサーズだった。
日本体育大学世田谷キャンパスを拠点に、山本美憂と山本聖子を中心に活動していたクラブチームだ。
「キム先生という韓国の方が教えてくれました。美憂ちゃんや聖子ちゃんを教える時に私たちキッズも教えてくれる感じでした」
奇しくも現在KRAZY BEEには山本美憂も所属しているので、お互い2度目のチームメイトということになる。
「まだ子供だったので、楽しくやっていたと思います。日体パンサーズとは対照的に、次に入った山梨のクラブは結構厳しかった」

日本やアジアで王者に。そして世界へ

幼少期のあいはレスリングに打ち込み、その後は他のスポーツで汗を流した。再びマットの世界に戻ってきたのは、高校に進学してからだ。
なぜもう一度やろうと思った?
「子供の頃、女子レスリングはまだオリンピック種目ではなかった。でも、オリンピック種目になると決まったので、ちょっとやってみようかなと思いました」
中学生も含めると、女子選手は10名以上いた。寮生活を送りながら、あいはレスリングに打ち込んだ。「練習は厳しかったけど、楽しくやっていたと思います。実家への帰省は年2回しかなかったけど、寮生活は快適だったので帰省がない生活もそんなに苦ではありませんでした」
高校時代のあいはジュニアオリンピック・カデットの部優勝、アジアカデット選手権優勝、ジュニアオリンピックジュニアの部優勝と実績を重ねていく。とりわけ海外遠征が記憶に残っているという。
「イタリア、スウェーデン、インド、タイ、中国、カタール。思い出せないけど、あともう一カ国どこかに行っています。とりわけヨーロッパっぽい街並みが広がっていたイタリアやスウェーデンがいいなと思いました。もうひとつインドに行く途中で立ち寄ったシンガポールもめっちゃ綺麗だったので感動しました」

頭を使わず、体で感じながら闘う

 大学は特待生として東洋大学に進む。
「親に頼らず大学に進学できたので、少しは親孝行できたのかなと思います」
周囲の期待に応えるかのように、あいは大学2年で出場した全日本学生選手権で優勝を果たす。続く世界大学選手権では3位に入賞する。
一方で、大学の途中でレスリングに対する気持ちが下がってしまう。
「自分の中でオリンピックの文字が消えてしまったんですよ。それでモチベーションが下がってしまいました」
大学3年の時に出場したシニアの全日本選手権。あいと同じ女子51㎏級には現在のレスリング界の女王である川井梨紗子や昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した入江ななみも出場している。強い選手に揉まれる環境で強くならないわけがない。
それでも、あいの意志は固かった。
「やっぱり普通がいい」
部の練習こそ毎日顔を出したが、かつてなったことがない”普通の女の子”になりたかった。
青春の蹉跌。大学卒業と同時に、あいはレスリングから身を引いた。