奥川雅也
サッカープレーヤー/ビーレフェルト
オーストリア屈指の強豪ザルツブルクで結果を残した奥川雅也は、2021年1月にドイツのアルミニア・ビーレフェルトへ期限付きで移籍する。この決断が彼のキャリアをさらに豊かにしていく。インタビュー後編では今シーズンの好調の要因から、今後の目標について語ってもらった。
「予想していなかった」ドイツ移籍で感じたもの
2021年1月、奥川はザルツブルクを離れ、ドイツ・ブンデスリーガ1部のアルミニア・ビーレフェルトへ同年6月までの期限付きで移籍した。奥川自身は「正直、まったく予想していませんでした」と苦笑いを浮かべる。
「僕はスペインのサッカーが好きで、いずれスペインのクラブでやりたいとずっと言っているんですけど、オーストリアで活躍をしても『主要リーグじゃないから』と言われたりしてきたんですね。それがすごく悔しくて、自分なりにザルツブルクでやり切ったというか、そういうタイミングでビーレフェルトからオファーが来たんです」
1月はシーズン途中だ。すでにチームは出来上がっており、途中加入の選手がポジションをつかむのは難しい。そのなかで奥川は13試合に出場し、11試合に先発した。得点は「1」にとどまったものの、1部に昇格したばかりのチームの残留に貢献したのだった。
「半年間やってみて、すごくレベルが高くて。そのレベルの高さに楽しみがすごくわいてきて、次のシーズンは完全移籍の契約をしてドイツでやりたいという気持ちになりました」
そして迎えた21年夏開幕の21―22シーズンは、2月28日現在でリーグ戦23試合に出場して8得点を記録している。1部残留をノルマとするチームで、25歳の日本人選手は最多得点を記録しているのだ。
「チーム状態はなかなか厳しいですけど、いいサポーターとかチームメイトに恵まれて、すごく充実しています。結果が出ていることについては、昨シーズン半年間ドイツでやって、自分なりのベースができたのが大きいですね。あとは、チームメイトがいいパスをくれているのもあります。ビーレフェルトのサッカーは『ドイツで一番走る』と言われていて、チーム一丸となって一生懸命頑張って勝ちに向かっていくのが楽しい」
サン・クロレラ飲用でコンディションの良さを実感
現在の奥川は、メンタルとフィジカルが高いレベルで結合している
ヨーロッパでプレーするようになってから、ミスに対する考えかたが変わった。世界各国から集まってくるチームメイトの思考が、貴重な学びとなった。
「こっちの選手を見ていると肌で感じるんですけど、練習から『えっ、何してるん?』というレベルのミスをする選手が、試合で点を決めたりする。日本人にはあまりない発想と言うか、彼らはまったくミスを引きずらない。それをずっと肌で感じていて、自然に自分の考えにもなってきています。サッカー選手はいいときも悪いときもあって、悪いときを引きずらないかどうかで変わってくる。悪いとしてもその日で終わらせて、次の日の練習で良ければOK、というスタンスでやり始めてから、気持ちの浮き沈みが減ったというか。一喜一憂しないことが、今シーズンの結果にもつながっているのかなと思います」
負のイメージを素早く振り払う、ということなのだろう。奥川は「そうですね」と頷いた。
「悪ければ悪いでしかたがない。次が良ければOK、という気持ちでずっとやっています」
フィジカルについては、「栄養」と無関係ではない。高いレベルでの戦いを経験していくことで、食事や栄養を意識するようになったという。
「自分で体重を増やそうと思ってもなかなか増えないし、おいしいものばかり食べても試合の日に身体が重いとか、そういうこともありました。年齢を重ねるごとに色々と感じるようになり、2、3年前から調理をしてくれる人を自宅に呼んだり、試合前や試合後に何を食べたらいいかを聞いたりしたり。洋食よりも日本食のほうが量を食べられるので、調理してくれる人を見つけて作ってもらうようにしていました」
現在は結婚から間もない奥様が、力強くサポートしてくれている。
「結婚する以前は、試合が終わると体重が2、3キロ落ちることがあって。それだと体重は増えないですよね。ビーレフェルトでは練習から100パーセント出し切ることを求められているので、普段から何を食べるのかがすごく大事なんです。奥さんは日々の献立から試合前にエネルギーを溜めるために何を食べるか、といったところまですごく考えてくれています。それも、今シーズンの結果につながっていると思います」
結果につながっているものが、実はもうひとつある。サン・クロレラだ。
「ちょうど1年ぐらい前に日本へ帰国したときに、知り合いからサン・クロレラさんの話を聞きまして。なかなか量を食べられないときにサプリで栄養を補給しようとしても、ドーピングが気になります。サン・クロレラAは「アンチドーピング認証を取っている」のでその心配もないということで、試してみることにしたんです」
飲んですぐ爆発的に上がるとかそういうのでは無いけど、結果が出てるので僕には合っているみたいです。」
所属クラブで活躍した先に世界の舞台が
2022年はワールドカップイヤーだ。4年に1度のサッカー界最大の大会が、11月にカタールで開幕する。森保一監督率いるチームがアジア最終予選を突破すれば、奥川にも本大会出場のチャンスは出てくるだろう。ビーレフェルトでレベルアップを印象づける25歳には、森保監督も熱い視線を注いでいる。
「ワールドカップは小さい頃からの一番の夢ですし、日本代表に入ってプレーしたいともずっと思ってきました。そのためにも、ビーレフェルトで活躍しないといけない。このチームにお世話になっているぶん、自分の得点で1部残留の助けになりたい、というのが目前の目標ですね」
そんな奥川に注目しているのは、森保監督だけではないだろう。未来のJリーガー、未来の日本代表を夢見る子どもたちも、彼の活躍に刺激を受けているはずだ。
「サッカー選手になりたい、自分も海外でプレーしたいと思う子どもたちには、サッカーを楽しんでと言いたいですね。楽しむことが努力につながる、成長につながると、僕はずっと考えてきました。小さい時はとにかく楽しんで、夢が目標に変わっていく場面で色々と考えたほうが、サッカー選手という道につながると思います。自分が目標にしたい選手を見つけて、その選手の真似をするのもいいでしょうね。コロナ禍で外での練習が難しい場合でも、映像を見て頭の練習をするのはいいと思います」
ほかでもない奥川は、幼少期からネイマールに憧れていた。ブラジル代表の背番号10を背負うアーティストへの憧憬は、ヨーロッパで活躍するいまも変わらない。
サッカーへの真っすぐな思いが、この25歳をさらなる高みへ引き上げていく。