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Vol.58
世界に届け!81本の音の花束。
なぜ「オレンジの悪魔」は、世界中のオーディエンスに愛されるのか?

京都橘高校吹奏楽部

世界に届け!81本の音の花束。後編
2022/12/09

いまや世界的バンドとなった京都橘高校吹奏楽部。とりわけ今年10月に開かれた台湾の国慶節祝賀パレードで披露した圧巻のパフォーマンスは蔡英文総統からも称賛され、YouTubeに公開された映像には台湾の熱狂的ファンからのまるでポップスターのライブ映像のようなコメントが並んでいる。
後編ではそのムーブメントの主人公である京都橘高校吹奏楽部から竹内さん(3年 フルートパート・ピッコロ担当、現部長)、木花さん(3年 トロンボーンパート、ドラムメジャー(DM))、中島さん(2年 ユーフォニアムパート、次期部長)、野口さん(2年 クラリネットパート、次期ドラムメジャー(DM))、に集まってもらい、彼女たちがどのような思いで吹奏楽に取り組んでいるのか話を伺った。

京都橘高校吹奏楽部の一員となることへの憧れと不安とプライドと。

現在3年生で部長でもある竹内さんは、中学時代から吹奏楽部に所属し、本来なら別の吹奏楽部の強豪校に進学する予定だった。しかし偶然に目に止まった京都橘高校の演奏とパフォーマンスに魅了され、自分もここで演奏がしたいと京都橘高校への進学を決めたのだという。ほかの3人も竹内さん同様、吹奏楽部に所属していた中学生のときに目にした演奏会や動画での演奏やパフォーマンスに惹かれ、「いつか自分もこの一員として演奏をしてみたい」と思ったことがきっかけだったと口を揃えて話す。自分がいい演奏をしたいというよりも「この楽団の一員として演奏したい」と思わせる魅力が、京都橘高校の演奏にはあるのだろう。そこで、中学の頃に憧れだった京都橘高校吹奏楽部に、実際に入部した当時の第一印象について聞いてみた。

竹内さん「当時の先輩たちと初めて一緒に演奏したときは、自分がその一員としていることが信じられないというか、まるで夢の中にいるような気分だったのを覚えています」

木花さん「わたしが実際に先輩の演奏をそばで聴いたときは、とにかく圧倒されてました。ちゃんと練習についていけるかな?という不安な気持ちでいっぱいになり、これは相当がんばらなきゃいけないなと思い知らされたというのが正直なところでした」

中島さん「わたしも入ってすぐの頃はついていけるかなという心配がすごく大きかったですね。でも先輩と一緒に演奏をしていくうちに、壁は高いけどだからこそ逆にがんばろうという前向きな気持ちに変化していきました」

野口さん「わたしは自分が実際に自分の目と耳で体感した京都橘高校は、それまでテレビや動画で知っていたすごく華やかなイメージだけではなく、じつは見えないところですごくたくさんの努力をされていることを知りました。その第一印象での衝撃が、自分も部員のひとりとして努力しなければいけないんだ、という自覚を芽生えさせてくれました」

4人に共通しているのは、当初はほのかな憧れを持って入ってきた京都橘高校吹奏楽部で、先輩たちの演奏レベルの高さに打ちのめされながらも、その一員になれたことへの喜びから前向きなモチベーションに変え、毎日のハードな練習や見えない努力を惜しまない姿勢を学び、やがて京都橘高校吹奏楽部の一員となるためのパスポートを手にするに至ったという、まさに青春スポーツマンガのようなサクセスストーリーである。

自らの音を磨くためには、まずは自らの人間性を磨くこと。

では、そのサクセスストーリーの階段を、華麗なステップで颯爽と駆け登った彼女たちは、その後どのような成長を遂げたのか?

木花さん「わたしは、ひとりの人間として成長できたという実感がすごくあります。あいさつひとつとっても、ただ『こんにちは』と言えばいいのではなく、相手に気持ちがきちんと伝わるあいさつをしようと心がけるようになりました。靴を揃えたり掃除をしたりするときも、ただやればいいのではなく、なぜ、どこを、どのように綺麗にするのか?広く大きな目線で考えられようになった。基本的なことを徹底する。その大切さを部活動で学ばせてもらったと感じています」

野口さん「たとえば自分の演奏がうまくいったと思っても、全体としては出来が良くないということはありますし、もちろんその逆もあります。おかげで同学年のメンバーや先輩、後輩たちと積極的にコミュニケーションし、助け合っていこうと思えたこと。それが自分としてはすごく成長できたところだと思います」

中島さん「わたしも中学の頃はとにかく自分のことで精一杯でした。でも京都橘高校で吹奏楽を続けていくうちに、周りの人がなにをしていて、いまどんなことを感じているのか。そうした周囲への目配りや気配りができるようになったことが、いちばん成長できたところなのかなと思っています」

中島さんがとくに目配り・気配りの大切さについて語るのには理由がある。彼女はつい最近、京都橘高校吹奏楽部の次期部長に任命されたのだ。いま彼女は現部長である竹内さんのそばで仕事ぶりを見ながら、部長として広い視野で部活全体を見ることの大切さを学んでいるところだという。
それはまさしく「呼吸を合わせる」という言葉にもみられるように、吹奏楽やマーチングにおけるチームワークの形成に欠かせないことでもある。そのため部長である竹内さんは1年生から3年生までみんながお互いを尊重しあい、「出会えて良かった」と思える雰囲気づくりに砕身してきた。もし辛いことがあったとしても部活動そのものを嫌いにはなってほしくない。そのためにも同じ学年だけで固まるのではなく先輩と後輩で一緒に帰ったり、部活の練習時間以外でも一緒になにかをする時間をつくったりすることで、学年を超えて部全体のコミュニケーションを深めてきた。そして、そうした日々の雰囲気づくりこそが、京都橘吹奏楽部のチームとしての団結力やパフォーマンスの一体感にもつながっているのだろう。

竹内さん「自分たちの演奏や演技でお客さんに楽しんでいただくというのはもちろん大事ですが、なにより人として素晴らしいと思ってもらえるような人間になろうというのをすごく意識した3年間でした。それは兼城先生に『人間としての良し悪しが演奏に出る』と教わったことが大きいと思います」

台湾遠征で深まった仲間との絆と、広がった海外との友情。

4人はいずれも先日の台湾での国慶節祝賀パレードに参加し、蔡英文総統をはじめ台湾国民やメディアから絶賛されたメンバー。その彼女たちが台湾での演奏で感じたのが日本と比べて聴衆のリアクションがとても大きいということ。日本語で「ありがとう」や「がんばれ」という声援が飛んだり、良いと感じたら演奏の途中でも大きな拍手で反応を示してくれたり、いまこの同じ瞬間を一緒に楽しんでくれていることが、演奏している彼女たちにもヒシヒシと伝わってきたという。

竹内さん「台湾での演奏経験を通じていろんな国の人に見ていただき「良かったよ」って言ってもらえたことはやっぱり純粋にうれしいですね。いっぽうで見てくださる方が増えたぶん、吹奏楽やマーチングに対していろんな考えかたや意見を持った人がいることも知ることができました。だからこそ、多様な価値観を持ったあらゆる人たちに『すごい!』と認めてもらえるような演奏をしていきたいと、あらためて思いました」

野口さん「想像していたより多くの人が聴いてくださって、すごく緊張しました。でも一生に一度の体験をさせていただいたと感謝しています。もちろんこのパレードでの演奏自体が貴重な経験ではありますが、この遠征をきっかけに多くの台湾の高校生とも一緒に演奏したり交流を楽しんだりすることができたことも、すごく良かったと思っています」

中島さん「言葉は通じなくても、でも身振り手振りで国を超えて気持ちを伝え合ったり、音楽の話をしたことは、わたし自身の成長にとっても本当にすごく大切な出来事だったなと思いますね」

そして今回の台湾遠征でドラムメジャーを担当し、台湾でもっとも脚光を浴びる存在となった木花さん。彼女も台湾での演奏から生まれた交流が、自分たちの世界観や視野をさらに広げるきっかけになったと話す。

木花さん「遠く離れた国で、同じようにがんばっている同い年の高校生と交流ができたことは、今後の人生にもすごくプラスになると思います。言葉は通じなくても考えていることはすごく似ているんだなあと勇気をもらえたし、逆に言葉が通じないぶん、いま相手がどんなことを感じ、なにを考えているんだろうと、相手の気持ちを思いやる優しさがさらに持てるようになった気がします。日本に帰ってきてからも交流は続いているので、この先もずっと国を超えた関係を築いていけたらいいなと思っています」

吹奏楽を通じて、演奏だけでなく人間として成長したい。口を揃えてそう語っていた彼女たちは、その言葉通りに台湾での経験から音楽以外の面でも多くの教訓を得ていた。日々の部活動のなかからコミュニケーションや人との関わりの大切さを学び、演奏会や遠征の機会を実践の場として活かし、自分たちの経験に変えていく。そして、その経験は彼女たちの人間性を深みある豊かなものに育て上げ、豊かな心から演奏が生まれていく。そうした好循環が京都橘高校吹奏楽部を強くしているのではないだろうか。

ひとりひとりの音が共鳴し、京都橘高校の音楽を際立たせる。

吹奏楽部というのは音楽という文化部の面と、マーチングという運動部の面と両方が同時に混在する。それゆえに音楽的な技術練習のみならず、メディカルトレーナーやマーチングコーチを招聘して体幹トレーニングなど体力づくりやマッサージ、身体のケアなどにも力を入れている。当然、食事や身体のコンディショニングにも気を遣ってきた。前編で顧問の兼城氏が語ったようにサン・クロレラAとの出会いも、そうした身体のケアにおける新しい試みとして導入したものだった。いまでは4人ともサン・クロレラAを毎日飲むことをひとつの習慣にしているという。

中島さん「あるとき飲まないとうまく調子が上がらないということがあったので、それ以来欠かさず飲むようにしています」

木花さん「木花家では、わたしだけではなく家族みんなで飲んでいます(笑)」

第一線で活躍するプロのアスリートも多く利用するサン・クロレラ。まだ若い彼女たちでさえ飲むと調子良さを感じるのはそれだけアスリートさながらに限界まで身体を追い込んでいるからにほかならず、つまりは相当にハードな練習を毎日積んでいる証拠でもあるのだろう。人間性が音に出る。それはフィジカルでも同じこと。疲れが音に出てしまっては人を感動させることは難しいだろう。
最後に、京都橘高校吹奏楽部の一員として、演奏をするときにいちばん大事にしていることをひとりずつ答えてもらった。

中島さん「京都橘高校の音は自分ひとりの音だけで成り立っているわけではありません。吹奏楽は隣に友達や先輩、後輩がいてくれるからこそできる音楽なので、周りに人がいてくれているからこそできることだということを感じながら毎日演奏をしています」

野口さん「わたしも周りの音をどれだけしっかり聴けるか?指揮の人の意図にどれだけ気づけるか?そのことをすごく大事にしています。隣の人の些細な変化に気づいて、それに対応する。そこで協力することがなにより大事だと思っています」

木花さん「わたしは3年生になってからは指揮を振ることが多いのですが、指揮ひとつでみんなの吹くニュアンスが変わるのをすごく実感してきました。わたしがこう振ればみんなはこう返してくれる。そういうやりとりのなかに、たくさんの仲間とひとつの音楽を奏でるという吹奏楽の楽しさを見つけることができました」

竹内さん「みんなも話してくれたように、自分の音というのは全員の音のなかにある一本の音に過ぎません。でも逆にいえば自分の音もなければ京都橘高校の音にならない。自分の音がちゃんと入った『京都橘の音』をお客さんにしっかりとお届けし、それをいいねと感じてもらえるような演奏をしたいといつも心がけています」

個々の音の美しさを際立たせながら、隣り合う音と共鳴し、全体でひとつの音楽を奏でていく。まるで1本1本の美しい橘の花が集まり、調和し、81本の花束となって、さらにその美しさを際立たせるように。京都橘高校の演奏の魅力は、そこに集約されていると言っていいだろう。
台湾での強烈な経験によって、その魅力はさらに強化されたようだ。帰国後、早速その成果がカタチになって現れ、全国マーチングコンテストで見事に金賞を獲得したのだった。顧問である兼城氏は「昨年も金賞をいただいたのですが、コロナ禍で参加できない学校も多かった。でも今年はそのような団体もみんな出場されていて、全体のレベルもグッと上がっていました。台湾の蔡英文総統からも直接メッセージをいただいたり、日本のみなさんはもとより、世界中の多くの方々から応援していただいていましたので、金賞を受賞できたことにホッとしています」と語る。
台湾での熱狂、そして2年連続となる全日本マーチングコンテストでの金賞と、京都橘高校吹奏楽部の活躍は止まるところを知らない。そして竹内さんから中島さんへの部長継承、木花さんから野口さんへのDM継承をはじめ、次世代への新たな一歩もすでに順調に踏み出している。彼ら彼女らが奏でる次なるムーブメント、その序曲が始まるのを、世界中の人が耳をそば立てて待ち望んでいる。