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Vol.64
選ばれし子。
グローボーラーズで最初のスカラシップ獲得を成し遂げた天才少年が歩む“新しい道”の行方

新郷礼音(しんごうれおん)/グローボーラーズ

選ばれし子。 後編
2023/08/15

新郷礼音。横浜市立豊田中学校卒業した15歳の少年だ。今年開催されたJrウインターカップにも出場し、身長188cmの体格とその長い手足、スピードと独特のリズム感を持つプレーに注目が集まっていた、バスケ界期待のニュースターだ。同時に彼はサン・クロレラが2020年から開催しているグローボーラーズプロジェクトで、最初のスカラシップを獲得し、アメリカへのバスケ留学挑戦の権利を手にした“選ばれし子”でもあるのだ。
夢への第一歩を歩む権利を手にした彼は、アメリカの同世代選手たちにも負けない体づくりが課題だと語り、アメリカでの食生活や健康管理の重要性を口にした。そしておそらくは初めて語られたであろう、いつの日か自分がNBAで活躍できるスタープレーヤーになったときに成し遂げたい、壮大な夢とその役割について。後編ではそうした彼のこれからのビジョンや将来の目標などを中心に、15歳の少年から見た世界の未来図を語ってもらった。

大きく強く速い、アメリカの選手に負けない身体づくりが課題。

ここでまずは新郷礼音選手のアメリカでの今後のスケジュールを整理しておこう。彼がめざすNCAA(全米大学体育協会)の最上位であるDivision1のカテゴリーの大学への進学を考えると、当然のこととして勉強もしっかりできていなければならないし、そもそも成績が悪ければバスケットボールの練習にも参加させてもらえないのだそうだ。日本のスポーツエリート校のようにスポーツの成績が秀でていれば、勉強のほうはある程度大目に見てもらえるということはない。バスケットボールの環境に関しては高校にチームがあるところもあれば、アカデミーやクラブチームでバスケをやりつつふつうの高校に通うパターンもあるのだという。おそらくは彼の場合、バスケはバスケットボールアカデミーで取り組み、高校はアカデミーが提携している現地の学校に通うことになる見込みだ。

新郷礼音選手「9月の正式な渡米の前に、この3月にキャンプに参加するためにアメリカに行くことになっているので、まずはそこでしっかりアピールをして、日本からいい選手が来たという印象を与えたいですし、結果を出して新郷礼音という名前を覚えてもらえたらなと思っています。自分のアピールポイントはスピード。ガードからボールもらってドライブのスピードで抜くプレーが得意なので、それを見せたいですね。逆に苦手なのはフィジカルプレー。ぼくは身長が高いけど、センターはあまりやっていません。理由はフィジカルがあまり強くないから押し切れないこと。なので、アメリカに行ったら筋トレを中心にフィジカルの強化は取り組んでいきたいと思っています」

3月のアメリカキャンプで得た「対等に戦える」という確信。

そうして迎えた3月のアメリカでのキャンプ。前回はチーム・グローボーラーズの仲間と一緒だったが、今回はたったひとりでアメリカのコートに立っていた。キャンプに参加している本場アメリカの同年代の選手たちとの初対面で印象に残ったのは、やはりその身体の大きさだった。顔つきやルックスもまるで大人のようで、プレー面でもいきなりダンクシュートをガンガン見せつけられ圧倒された。しかし、実際に一緒に練習をしていくうちに、彼はドリブルなどのスキルではそこまで差はなく、自分の強みをしっかりと出しきれば対等に勝負できるという実感を持てたという。
また今回のキャンプではアメリカ流の練習方法にも驚かされた。それはひとりの選手に一人のコーチがつきっきりになり、つねにコーチと一対一で練習するということ。日本にいるときはこれまでそういった練習のやりかたは一度もなかったそうだ。

新郷選手「マンツーマンでのトレーニングの良さは、やはり自分の動きのクセなど細かいところまでしっかり見て、ひとつひとつ修正してもらえたことです。たとえばぼくは3ポイントシュートが苦手だったんですけど、アメリカのコーチに『お前はボールを見て打っている』と言われたことで、いままで自分がゴールを見ずにシュートを打っていたことに気づけた。その感覚を持ってシュート練習に取り組んだら、おもしろいように入るようになったんです。シュートフォームへの指導はもちろん、指先の細かい動きをチェックされたり、手を大きく開くように指導されたり、そうした本当に小さな変化によってプレーが大きく成長できた1ヶ月間だったと思います

自分の良さをアピールして、日本からいい選手が来たと印象づけたいとキャンプへの抱負を語っていた新郷礼音選手。練習で得意なドライブで抜くプレーやレイアップショットが決められたこと、またシアン本番では彼のディフェンス力に関して、滅多に選手を褒めないコーチから褒めてもらったこともあり、キャンプでの目標はある程度は達成できたと自信になったという。

また、アメリカでの1ヶ月は、私生活面での成長にもつながった。練習についてくれているコーチと同室で1ヶ月暮らすなかで、日本ではこれまで母親任せにしていた家事や掃除などについてもコーチから厳しく指導された。「レオンはママに甘え過ぎだ」。そう叱られたという彼は、9月からのアメリカでの新シーズンに向けて、生活面での成長もひとつの新たな課題として付け加えることにした。
さらに今回のキャンプでは、渡米前に課題だと話したフィジカル強化にも取り組んだ。筋トレは、コーチとの一対一での練習が始まる前に、自身が苦手としていた腕立て伏せをはじめ、20kgのメディシングボールを床に叩きつけたり壁に投げたりする、トレーニングチューブを腰に巻いて足腰を鍛えるたり、およそ30分から40分かけて毎日みっちりと鍛え上げてきた。
わずか1ヶ月とはいえ、たったひとりで英語での指示も聞き取れるようになり、周囲とのコミュニケーションの大切さを肌で感じるなかで、多くのものを得られたという新郷礼音選手。1年目は「我慢の年」になるだろうと話す。その理由は、まずはアメリカの生活習慣や環境、チームになれることが先決だということ。そのうえで2年目以降に自身の実力が発揮できるようしっかり準備する1年にしたいということだった。つまり彼はフィジカルや私生活など、心身ともに「アメリカのバスケットボールプレーヤー」になるための準備期間として2023年シーズンを位置付けているのだ。

アメリカの食生活を考えると、サン・クロレラが必要になる。

身体づくりといえば食生活。好きな食べ物は?と尋ねると「鰻重」と答えるお茶目な一面を覗かせる彼だが、アメリカで鰻重を食べるのはなかなか難しいだろう。これまでは彼の母である真理子さんが、栄養バランスなどを考えて食事をつくってくれていた。彼自身、好き嫌いなくなんでも食べるように心がけ、とくに野菜をしっかり摂るよう意識してきたという。しかしアメリカではそういうわけにもいかない。食事は基本的には学生寮ですべて提供されるが、健康管理を考えられたメニューが用意されることは、あまり期待できないというのだ。そこで、ますます重要性が増してくるのがクロレラだと新郷礼音選手は話す。

新郷選手クロレラは粒タイプのものを飲んでいます。これまでふだんは部活が夕方の5時半まであって、それから家に帰ってお腹が空いているのでごはんを食べたらサン・クロレラを飲んでトイレに行ってしっかり出して(笑)、それから1時間ほど寝ます。栄養バランスが整ったおかげなのか、とにかく寝つきもいいんですよね。それでまたすぐに今度はクラブチームのほうの練習に行くんです。それがだいたい夜の7時から9時まで。帰ってきたら10時ごろになります。帰ってきてやっと自分ひとりの時間。ネットで動画を見たりして過ごしているので、寝るのはちょっと遅いですね。アメリカではあまりフレッシュな野菜をしっかり食べることができないかもしれないので、ますますサン・クロレラが手放せなくなりそうです」

アメリカでは母の真理子さんの手料理を食べることもできない。かといってドミトリの料理にもアスリートとしての栄養バランスに配慮した食事までは期待できないとなると、自分なりに食事を含めた健康管理をしていかなければならない。しかし彼はまだ15歳。食べ盛りでもあり、成長期でもある。現在の身長は192cmここ半年で3cm、中学の3年間ではなんと25cmも伸びたという。今後さらに身長は伸びるだろう。彼自身、アメリカのトップレベルで戦っていくためにも、まだまだ身長はほしいと語っている。バスケットボールの技術やスキルの向上はもちろん、語学や高校での勉強に加え、ふだんからの健康管理や食生活といった身体づくりにもしっかり向き合って取り組んでいく必要がありそうだ。課題は多いが、同時にやりがいも感じている。「遊びに来たんじゃない」。彼は昨年9月に初めてアメリカへ乗り込んできたときにDashコーチに激しい口調で叱咤された言葉を思い出していた。

世界中の貧しい子どもたちに、自分と同じチャンスを与えたい。

将来の夢は、もちろんNBAプレーヤーになること。だが、彼が見つめている成功のさらにその先にある風景は、これまでの若者のそれとは少し違っているようだ。彼の口から語られる夢の風景には、プール付きの豪邸も、プライベートジェットも一切登場しないのだ。

新郷選手「YouTubeでバスケのスター選手がアフリカをはじめ貧しい国の子どもたちに多額の寄付をしている姿を見て、胸を打たれました。ぼくが生まれたジャマイカも決して裕福な国ではありません。いま自分は好きなバスケをして、好きなだけごはんを食べることができます。しかもそれがあたりまえだと思っている。でも、世界にはそれがあたりまえではない子どもたちがたくさんいる。そのことを動画で知ってすごくショックを受けました。だからそういう子どもたちにチャンスを与えたい。自分がいまチャレンジをするチャンスを与えてもらっているように、今度は自分が彼らにチャンスを与えられる人になりたい。それが最終的なぼくの夢なんです」

アメリカンドリームをその手に掴み取り、子どもの頃からの夢を叶え、有名人になって大金を稼ぐセレブリティの仲間入りをする。まるでヒップホップのライムを彷彿とさせるようなサクセスストーリーだが、その目的は世界中の貧困の子どもたちを救うことだというのだ。そして、実際に自分が成功すれば、その“New Path(新しい道)”へと歩き出す第一歩をサポートしてくれた、サン・クロレラ グローボーラーズプロジェクトを広く世に知らしめることができる。唇を噛み締めながら、彼は真摯にそう語った。その言葉と瞳には、日本で育った15歳の少年とは思えない高邁な理想と決意が宿っていた。いや、むしろ現代の15歳が見つめている世界においては、それが常識なのかもしれない。

新郷礼音。彼はまさに名実ともに新しい世代のスーパースターが誕生する予感に満ちた“選ばれし子”なのだ。道はできた。あとは進むだけだ。その先で待つ渡邊雄太や八村塁と同じコートに並び立つ“その日”が訪れるのは、そう遠い未来ではないかもしれない。