滋賀レイクス
いまからちょうど1年前、B2降格という思いもよらぬ屈辱を味わうこととなった滋賀レイクス。選手たちやコーチ・スタッフはもちろんのこと、なによりブースターたちにも大きな動揺と深い失意が広がっていた。しかしチームはいつまでも立ち止まってはいなかった。すぐに顔を上げ、前を向いた。昨秋にはスペインで初めての海外キャンプに取り組むと、「B2優勝」「1年でB1昇格」という目標を掲げた。これは彼らいわく「絶対目標」であり、必ず成し遂げなければならない、ブースターとの約束でもあった。B2で他のチームを圧倒して、1年であの舞台へ必ず戻る。その決意が、チームとブースターをさらに盛り上げ、結束させたのだった。
後編ではプレーオフ以降の激しい戦いや、目標であったB1昇格を達成した瞬間の思い、来季への新たな決意やブースターへの感謝の気持ちなどについて、伺うことにしていく。またそれぞれのサン・クロレラ製品の摂りかたなどについても聞いてみた。
分岐点は、プレーオフの激しさや厳しさを学んだ青森ワッツ戦。
「勝率8割」には届かなかったものの、最終的に7割3分3厘の高い勝率で2位に8ゲーム差をつけての圧勝で、西地区優勝を決めた滋賀レイクス。いよいよ初めてのB2プレーオフに臨んだ。初戦の相手は東地区4位でワイルドカードから進出してきた青森ワッツ。だがその初戦、闘志むき出しで挑んでくる青森ワッツにレイクスは苦戦。序盤からリードされる展開が続き、第3クォーターで一度逆点するもその後に再度逆点され、84-88で敗れた滋賀レイクスは、黒星スタートのプレーオフとなった。やはりプレーオフはレギュラーシーズンとは別物。会場の雰囲気だけではなく、たったひとつのプレーが試合全体の流れに影響する短期決戦ならではの難しさを痛感させられた。こうなるとイヤな予感がよぎるものだが、ここでもレイクスのメンバーに焦りはなかった。思えばシーズン開幕時も同じ状況だったからだ。必ず最後には自分たちが頂点に行く。その確信だけは最後まで揺らがなかった。その支えとなっていたのがやはりブースターの声援だったという。
野本「レギュラーシーズン中、たとえばアウェイで他チームの本拠地に行ったときなども、滋賀レイクスのブースターは特別だとふだんから感じていました。でもプレ―オフに入ってブースターの皆さんの応援も完全に「プレーオフモード」になっていました。相手フリースローのブーイングでも、ぼくらの鼓膜が破れるんじゃないかっていうくらい大きくて、地面が揺れる感じがしましたし、本当にそれで勝てたゲームもあったと思います。ブースターの力、ホームの力はすごいなと今回のプレーオフであらためて感じました」
江原「もちろんレギュラーシーズンからすごいなとは感じてはいましたけど、プレーオフに入ってからの想像を超える応援の熱には本当にびっくりしました。もちろんその声が自分たちのパワーになっていることも実感できていました。試合中に流れが悪いときにブースターのみなさんの声援があったからこそ、いい流れに変えられた試合は数え上げたらキリがないくらいありましたからブースターに感謝しています。大学4年間やってきて一回も感じたことのない特別な雰囲気を味わえたことは貴重な経験でした」
強力なブースターの後押しもあって、初戦の黒星の後は青森ワッツに連勝でセミファイナルに進出すると、セミファイナルで山形を、ファイナルでは越谷をいずれもストレートで下し、結果的には初戦に敗れた以降は無敗で、絶対目標であった「B1昇格」と「B2優勝」を成し遂げたのだった。とりわけセミファイナルで勝利し、B1昇格を確定させた瞬間のレイクス本拠地である滋賀ダイハツアリーナは歓喜の渦に包まれ、多くのブースターで埋まる観客席は文字通り大きく揺れていた。
昇格がきまった瞬間のアリーナの景色は、生涯忘れられない宝物。
いったん地獄を見た勇者たちが、さまざまな紆余曲折を経て、最後に歓喜の瞬間を迎えた2023−24シーズンの滋賀レイクス。まさに激動と呼ぶにふさわしい今シーズンを振り返るにあたって、今期の自分たちを象徴するもっとも印象に残ったゲームを教えてもらった。
江原「自分はあえて青森ワッツに負けたプレーオフの一戦目を挙げたいです。理由は、プレーオフを経験した選手が少ないレイクスに、青森ワッツさんが『プレーオフとはこういうものだよ』ということを教えてくれた試合だったと感じたからです。当たりの強度も違うし、笛の鳴る回数が少なかったので、とてもタフで激しいゲームになりました。プレーオフにもなればこのくらいの強度で戦っていかないと勝ち進めないということを一人ひとりが実感させられた試合だったと思っています」
野本「ぼくはセミファイナルのゲーム2です。ブザーが鳴ってB1昇格が決まった瞬間のあの会場のみんなが喜んでいる景色をしっかりと目に焼きつけていました。ちょうどそのときぼくがボール持っていたんですけど、そのままガッツポーズをしたんです。そうしたら客席に『B1昇格』と書いたボードが掲げられているのが目に飛び込んできて、全身に鳥肌が立ちました。そのボードはブースターの有志の方が用意してくれたものらしいということを後から伝え聞いたんですけど、そのエピソードも含めてレイクスブースターすげえなってあらためて思えた瞬間でもありました。泣いている人もたくさんいて、本当にあれは最高の景色でした」
ふたりともがプレーオフのゲームを挙げたのにはおそらく理由がある。取材中に語っていたことのなかのひとつに「B2優勝、B1復帰」が絶対目標だった彼らにとって、プレーオフ進出は大前提だったはずである。もちろん苦しいシーズンであったことは間違いなく、レギュラーシーズンの中にもいくつかポイントとなる試合はあっただろう。それでも、そこはあくまで通過点に過ぎない。プレーオフ以降が本当の戦いだと、より高いレベルでの意識を共有していた彼らだからこその答えだったのではないだろうか。
激動のシーズンを戦い抜いた選手たちの体調管理を支えたサン・クロレラ。
長く厳しいシーズンを戦い抜いた選手たち。連戦もあれば遠征もあり、溜まった疲労のリカバリーやふだんからの体調管理、栄養管理にも細やかなケアが必要となってくる。サン・クロレラは東海大学時代から提供してきた江原選手含め、滋賀レイクスに長年にわたってクロレラ製品を提供。選手たちの栄養管理をサポートしてきた。それぞれに飲みかたや飲む時間などについて話を聞いてみた。
野本「ぼくは今日の朝も飲んできました(笑)。サン・クロレラAパウダーを毎朝プロテインに混ぜて飲み、夜は錠剤を飲むというスタイルです。ぼくはもう長期間毎日飲んでいるのであらためて何か変化を感じるかといわれてもわからないのですが、でも今シーズン自分のパフォーマンスを保てたのは、サン・クロレラAパウダーのおかげだと自分では思っています。4年間飲んでいるので、いまでは身体の一部になっている感じですね」
江原「自分は大学3年生の頃から飲みはじめたので、いまで2年ちょっとくらいになります。ほぼ毎日オレンジジュースに混ぜて寝る前に飲んでいます。じつは初めて飲んだときは水に混ぜて飲んだのですが、味がちょっと苦手だったのでオレンジジュースに混ぜて飲むようにしました。そうしたら美味しく飲めたので、それからはずっとその飲みかたで飲み続けています。ぼくも体の一部になっていると思います(笑)」
野本「ぼくも水だけでパウダーを飲むのは苦手で、最初は錠剤のほうだけを飲んでいました。でもプロテインに混ぜて飲んでみたらプロテイン自体の味が濃いからぜんぜん気にならなくなって、それ以降は毎朝パウダーも飲むようになったんです」
来季に向けた新たな決意と、ブースターへの新たな約束を胸に。
失意と屈辱に終わった昨シーズンから、決意のスペインキャンプ、苦戦続きのシーズンスタートを経て、最後は1年でB1に戻るという決して簡単ではない目標を達成し、歓喜と熱狂のなかでシーズンを終えた、まさに波乱万丈というべき激動の1年を過ごしてきた滋賀レイクスの青き勇者たち。B1で迎える2024-25シーズンに向けて、今シーズン苦難をともに乗り越えてきたブースターたちへのメッセージを語ってもらった。
江原「レイクスのブースターのすごいところは、ホームはもちろんですけどアウェイでもたくさんのブースターが駆けつけてくれて、大きな声援を送ってくださること。アウェイなのにまるでホームゲームのような雰囲気をいつも作ってもらえた。そういう熱狂的なブースターがいつもそばにいてくれたからこそ、自分たちも強くなれたし、目標が達成できたと思うので、これからも滋賀レイクスを応援していただきたいと思います」
野本「今シーズンは本当にみなさんの笑顔をたくさん見ることができたし、ぼくらの笑顔をたくさん見せることもできたと思っています。そして最後に最高の景色を一緒に見ることもできました。本当に嬉しかったし、来シーズン以降はもっともっとそういった姿を、強豪ひしめき合うB1のステージでみなさんにお見せできたらと考えています」
滋賀レイクスのブースターは熱狂的だとの評判はずいぶん前からバスケットファンのあいだでは知られていたことだった。しかし今シーズン、意外なかたちでそのことを証明するデータが明らかにされている。じつはB2に降格した今シーズンの来場客数は、B1だったそれまでよりも増えたというのだ。スポーツビジネスの常識では考えられないことで、ブースターのレイクスを愛する想い、「一緒にB1に戻るんだ」という決意や、「自分たちはいつでもレイクスの味方」という優しさを感じさせるエピソードではないだろうか。
いよいよ今季、ブースターとの約束を果たしたレイクスがB1のステージに帰ってくる。チームは現在さらなる進化を求め、B1仕様の新しいチームへと生まれ変わろうとしている。滋賀県をはじめ関西圏に近いブースターは、よりいっそう熱く優しい声援を、本拠地・滋賀ダイハツアリーナで送り続けることだろう。そして全国にいるレイクスブースターが、敵地をホームに変えてくれることだろう。時は満ちた。青き勇者たちの逆襲が、ここから始まる。新しい決意と、新しい約束を胸に秘めて。