鈴木みのる
プロレスラー
鈴木みのるは日本だけではなく、世界各国のリングに上がる。月に一回はアメリカで定期的に闘っているほどだ。今年に入ってからは初めて中東のカタールに遠征した。
カタールはアラビア半島北東部に位置する半島を領土とし、南はサウジアラビアと接し、残りの領土はペルシャ湾に囲まれている。首都ドーハは日本のサッカーファンにとっては「ドーハの悲劇」になった舞台としてあまりにも有名だ。
カタール政府公認の大会で感じたこと
しかし、カタールでプロレスという話は聞いたことがない。どういうきっかけで?
「カタールにプロレスがあるわけじゃなくて、カタールにプロレスが大好きな(企業の)社長のアリさんがいたということです」
アリさんは日本のプロレス、とくにアントニオ猪木の大ファンだという。「自分のアイドルは猪木だと言っていました」
その流れで鈴木に声がかかったということか。ほかにはかつてWWEで活躍し現在は契約外の選手も招聘されたという。
「そこに自分が面倒を見ている若い選手が何人かいるので、そういう選手もまぜこぜにして興行をやったという感じです」
後援はカタール政府! つまり国のお墨付きの大会で、会場は3000人くらいの観客でフルハウスだったという。
「女性客もいたけど、子供が多かった。やっぱり政府主導の大会だから、子供の招待とかいっぱいいたんじゃないですか」
実はカタールからの誘いは今回で2回目。初めてオファーがあった大会は周辺諸国で戦争が勃発した関係で中止になってしまったという。
「今回は問題ないということで、『来てくれ』と。いまは戦争真っ只中だけど、以前はイスラエルからもオファーがありましたね」
カタールはイスラエルとパレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスとの交渉の仲介役を努めていることでも知られている。
かつてイスラエルではUWFインターナショナルの試合映像がBUSHIDOという名で定期放送され、爆発的な人気を誇っていたことを鈴木は高山善廣から聞いていた。
イスラエルのプロモーターから出場のオファーをもらったときにはこんなやりとりがあったという。
「鈴木、君がわが国に来たらスーパースターだよ」
「いや、俺はすでに世界のスーパースターだから」
対戦相手が誰であろうと「コイツは面白い」と思わせる自信はある
1日も早い中東の平和を願うばかりだが、カタールの観客は普段プロレスを見慣れていないこともあり、みな新鮮な眼差しを向けていたという。
「対戦相手を思い切り投げ、パコーンという音がしたら、ウワッーって声を上げていましたね」
一口にプロレスの興行といっても、客層は十人十色。マニアックなファンばかりを集めた大会もあれば、初めて見る人ばかりを集めた大会もある。しかし、どんな客層だろうと、鈴木は『コイツは面白い』と思わせる自信がある。
「これだけプロレスをやっていると、相手の国籍がどこであろうと、マニアか初見だろうと、男であろうと女であろうと全く関係ないんで」
とはいえ、意識的に「絶対に客の心を俺の掌に乗せてやろう」とも思っていない。
「俺、そういうのはどこに行ってもない。『今日はこうしてやろう』なんて考えていたら置いてきぼりを食いますから」
言葉は通じなくても心は通じ合うのがプロレスの醍醐味。鈴木はいつも等身大の自分で勝負する。「素のままでいって、(現地の)お客さんを感じる。プロレスに対する知識の段階であったり、そのときの気分とか。俺ね、みんなに信じてもらえないけど、リング上でそういうのを全部感じるんですよ」
場の空気を読む?
「違いますね。もっとわかりやすくいうと、客の頭の上に数字や色が見えるくらいの感覚です。熱狂したら、それが赤になるとかね。だから見せかけはするけど、いま客が欲しがっているものをすぐ出さないということもやっていますよ」
それから鈴木は「偉そうなことは言わせてもらうと」と前置きしてから、新日本プロレス時代の体験を話し始めた。
「僕が若い頃、(付き人を務めていた)アントニオ猪木さん意味不明なことをいっぱい喋っていたんですよ」
控室でも独り言のようにありし日の猪木は禅問答を繰り返していたのか。
「僕は猪木さんとはまたさらに違うことをやっているつもり。いまはそんなところにいる気がします」
2日で4試合。24時間プロレスをやっている狂乱の地へ
今年4月(インタビュー時期3月下旬)はラスベガスでレッスルマニアウィークがあるので、それに合わせ渡米する。「レッスルマニアの会場って、それこそ8万人とか9万人入る会場なんですよ。でも、それを見なくても、その前後に世界中のプロレス団体が集まって興行をやる」
つまり、その前後の興行を見たさに推定数十万のプロレスファンが世界中から集まる。「すごいですよ、24時間、ありとあらゆるところでプロレスをやっています」
今回鈴木は2日で4試合──2日間連続のダブルヘッダーをやることがすでに決まっている。「飛行機が着いたらそのまま会場に直行して試合をする。それから移動して違う会場で試合をする。翌日はまた違う会場で2試合というスケジュールです」
かなりの強行軍ながら、以前ダラスでは3日間で8試合やったことがあるという。
「5年くらい前かな? 最初の2日は夕方・夜・夜中で、最終日は夜と夜中に試合をしました。朝3時くらいに現地のゲイレスラーに抱えられてチューされていますよ(微笑)。でも、別に面白いからいいやと思って」
そんな強行日程のときも鈴木はサン・クロレラ®パウダーを欠かさず摂るようにしている。
「基本的にどこに行くときでも携帯しています。朝食をとったあとにプロテインと一緒にとるようにしています。いまでは出るものが緑色じゃないと、体調が悪いんじゃないかと思っちゃう(微笑)」
世界と闘うためにサン・クロレラ®パウダーを摂れ。
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