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Vol.80
雪辱を、胸に。
雄弁な背中。苦境でも戦う姿をチームに見せ続けたキャプテンが、来季に見据えるヴィジョンとは。

滋賀レイクス 野本大智・游艾喆・長谷川比源
バスケットボール

第一章 雄弁な背中。苦境でも戦う姿をチームに見せ続けたキャプテンが、来季に見据えるヴィジョンとは。
2025/06/30

野本大智選手は、滋賀レイクス在籍年数がチーム最長の5年。今シーズンはキャプテンにもなり、名実ともに「ミスター・レイクス」と呼ぶにふさわしい唯一無二の存在となっていた。「言葉ではなく姿勢で見せる」。自身のキャプテン像について、そう語っていた彼は、「今シーズンを振り返ってください」との問いに対し、そのクールな風貌とは裏腹に、熱い思いと、そして秘めたる悔しさを滲ませながら静かに語り始めた。

チームが噛み合えば結果はついてくる。だからこそ自分がその中心を担っていきたい。

野本「まず最初に出てくる感情は、やはり“悔しい”ということに尽きると思います。というのもシーズン前の下馬評では、多くのメディアやSNSなどで最下位予想とされていた。そのなかで絶対にそこを覆したいという気持ちでみんなシーズンに入っていたし、シーズン中もその一心でがんばってきました。でも最終的な結果は大方の予想通り最下位に終わってしまい、覆すことができなかった。それがなにより悔しかったです」

一昨年B2降格という地獄を味わい、そこから1年での復帰という目標を達成した昨年のインタビューで野本選手は「昇格が決まった瞬間の熱狂するアリーナの景色が忘れられない」と語っていた。今季はB1復帰後最初のキャプテンとなり、その重積を担ってのシーズンだったこともあってか、その悔しさはひとしおだったのではないだろうか。

キャプテンとして彼が意識していたのは「ポジティビティ」だという。B1復帰したばかりということもあり、厳しいシーズンになることは野本選手自身よくわかっていた。簡単には勝たせてもらえないだろうし、苦しいゲームが続くだろうことも。だからこそキャプテンが常に前を向き、戦う姿勢を見せ続けることが何より大切だと考えていたのだ。

野本「たとえ負けが続いても、ぼくたちはプロですからあたりまえのように、すぐに次の試合がやってきます。当然ブースターもぼくたちの勝利を信じてアリーナに足を運んでくれている。そこでチームにネガティブな空気が流れている、というのは絶対にあってはならないこと。とにかく切り替えて、次のゲームとその準備に集中すること。それがとても重要だと感じていました。その際、自分は言葉で鼓舞するタイプのキャプテンではないので、自分が誰よりもポジティブな姿勢で練習や試合に取り組み、その行動をみんなに見せることでチームの空気を変える。そういうことを意識して1年間取り組んできました」

「去年のチームには“キャプテン”がたくさんいました」。野本選手がそう話すように、昨年はキャプテンを務めていた哲さん(柏倉哲平選手)以外にも、JB(ジャスティン・バーレル選手)や眞庭選手などが個々にリーダーシップを発揮。互いに声を掛け合い、みんなでチームを支え、引っ張っていた。そこにはB2降格というチームの危機を迎えたことで「1シーズンでのB1復帰」という明確な目標があったことも大きかったかもしれない。しかし今年は違う。ともに苦境を味わったメンバーとはまた異なる新加入の若い選手も多く、まったく新しいチームとして積み上げてきたケミストリーを浸透していく必要もあっただろう。そのなかで自分がやらねばという強い思いが、空回りする部分ももしかしたらあったのかもしれない。

野本「今シーズンのレイクスが思い描いたようにいかなかった理由は、ひとつではないと思います。また何もかもダメだったわけでもない。たとえば得点王がチームから出ていることから見ても、得点はしっかり取れていました。ただその反面で失点が多かった。やはりサイズのある選手が少ないというチーム状況にあって、リバウンドが取れずに苦しんだり、取れてもそこからの攻撃がスコアに結びつけられる確率が低かったり、チグハグな面があったと評価しています」

そうした課題はシーズンが進むにつれ、改善されていったところも多くあった。たとえばそのひとつがシーズン途中で身長202cmの長谷川比源選手が加入したこと。その結果、大きな課題のひとつだった高さへの対応が強化され、最終戦ではビッグマンふたりを擁する京都ハンナリーズ相手にリバウンドバトルでしっかり勝ってみせた。こうした点は来季に向けた明るい材料といっていいだろう。なにより野本選手も語るように、レイクスが持っているストロングポイントを活かし、それがうまく噛み合いさえすれば、必ずや来季はブースターの期待に応えるゲームをより多く見せることができるシーズンになるはずである。

規則正しく、決められたルーティンをきっちりこなすタイプだという野本選手。

なかなか思ったようなプレーができず、結果も出ない日々が続き、心身ともにハードだった2024-2025シーズン。過酷なリーグ戦を戦い続けていくうえで、野本選手が体調管理やコンディションを整えるために取り組んできたルーティンについて聞いてみた。そのなかで彼が体調管理の面でいちばん大切にしているのが睡眠だという。毎日の睡眠時間はきっかり8時間。基本的には夜は11時に眠り、朝7時に目覚めるということまできちんと決めているのだそうだ。

野本「ぼくはけっこう自分でこうと決めたことを、きちんと続けていくタイプだと思います。1日の3食の中で必要な栄養素を必要な分量摂るということにも、気をつけています。もちろんサン・クロレラも毎朝必ず起きてすぐ、朝食の前にパウダーをプロテインに混ぜて飲んでいます。もう何年もその生活を続けているので、あたりまえになりすぎてどういう効果があるかもわからないくらい。飲むのをやめたら逆にわかるんじゃないかな(笑)。」

そんな野本選手のプライベートでのリフレッシュ方法は温泉やサウナへ行くこと。地元・滋賀の温泉やサウナはもちろんのこと、遠征先でも時間があれば現地の温泉を探すのも楽しいとハマっているのだそうだ。また最近はバスケ以外のスポーツ観戦に出かけることもあるという。

野本「先日、ちょうどJリーグの開幕戦に行ってきたんですけど、めちゃくちゃ楽しかったです。やっぱり屋外のスタジアムはふだんぼくらがやってる屋内のアリーナとは雰囲気も全然違うし、サポーターの声援や応援の仕方も独特でおもしろかったですね。まだとくに贔屓チームがあるとかではないんですけど、関西のチームを中心に行けるタイミングがあればまた行きたいです。あとプロ野球の観戦にも興味があって甲子園で阪神の試合を観てみたいです」

【ブースターからの質問への回答】白いバッシュ/群馬への思い

Q1 白いバッシュにこだわりがありますか?

野本「ははは。こだわりはまったくないです(笑)。とくに意味もなくて、シューズについては基本的にはなんでもいいと思っているんですけど、たしかに言われてみれば白いバッシュしか履いてないかもしれないですね。なんとなく自分がいいと思うデザインのシューズがたまたま白だったので、それをずっと履いているのと、いまのシューズがすごくフィットしてて履きやすいのでずっと履いてた、というだけなんです。でもよく見てますね(笑)」

Q2 これまでB1、B2とさまざまなアウェーチームのアリーナを経験されて、他のチームのアリーナで印象に残ったところがあれば教えてください。

野本「それはやはり群馬ですね。ぼくが群馬の高崎出身なので、古くからの知り合いや家族や友人、これまでお世話になった人などがたくさん応援に駆けつけてくれます。あと新しくなったばかりのオープンハウスアリーナ太田にも行ったのも初めてだったのですが、音響や演出もすごくて印象に残ってます。もちろんいちばんは滋賀のブースターのために戦ってるんですけど、自分が生まれて高校生まで18年間いた場所なので、地元の人たちにプロになった自分のバスケを見てもらうことができるので、やっぱり群馬でのゲームは特別な時間でした」

来季はとにかく勝ちにこだわり、チームを勝たせられるキャプテンになりたい。

チームとしてはイチからの再出発となり、また野本選手個人としてはキャプテンとしての2シーズン目となる来季。再起をかけた勝負の来シーズンに向けての抱負と、ブースターへのメッセージを語ってもらった。

野本「とにかくぼく自身がチームを勝たせられる選手になること。それがまずなによりの来季のひとつの目標です。そして今シーズンは残念なことにブースターのみなさんの応援と期待に応えられなかったシーズンになってしまった。来季はチームとしてもぼく個人としても、プレーで、内容で、そしてなにより結果で、必ずその期待に応えられるようがんばります」

苦しいシーズンだったからこそ、その苦しみをともに味わった選手たちと、今年も継続して同じチームでプレーできることは、ポジティブなことだと語った野本選手。チームのケミストリーはじめ、昨シーズン苦しい思いをして得た経験を今年また共有してプレーできることに大きな意義を感じているということだった。そして苦しいシーズンをともにしたのはブースターも同様だ。自分は言葉ではなく姿勢で示すキャプテンだ。そう語った野本選手の胸の中ではすでに、チーム・レイクスとして辛酸を舐めたブースターとともに晴らすための新シーズンは、もう始まっているようだった。