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Vol.85
雨のち、快晴。
苦しんだシーズンがもたらした新たな境地へ。背水の陣で挑む世界一のフットサル選手への再挑戦。

原田快
フットサルプレーヤー/FCサンタ・コロマ

苦しんだシーズンがもたらした新たな境地へ。背水の陣で挑む世界一のフットサル選手への再挑戦。後編
2025/10/03

出場機会を求めて移籍したショタFSで迎えた2024-2025シーズンだったが、結果としては思うようなプレータイムが与えられなかった屈辱の一年となってしまった原田快選手。苦しんだシーズンにあっても「クアトロ」と呼ばれる初めてのプレースタイルへの順応やディフェンスの強化など、さらなる成長へとポジティブに取り組んでもきた。

次なるシーズンを新天地FCサンタ・コロマで迎える彼は、この2年で結果が出なければスペインでのフットボーラーとしてのキャリアは終わるかもしれない。そういう悲壮な決意を持って今回の移籍に挑んだという。そこで後半では「背水の陣」と自ら語る来季にかける期待や目標、それを達成するための意気込みや思いなどについて真摯に語ってもらった。

栄養管理の面でも自立し、仲間と食事を楽しむ余裕もうまれた。

日本のフットボール界を驚かせたFCバルセロナ移籍からまる3年が経ち、スペインでのフットサル選手としてのキャリアもいよいよ4年目を迎えた原田快選手。今季に入ってからは栄養管理についてもすべて彼自身で管理し、食事も自分で作って食べているのだそうだ。朝はごはんと味噌汁と梅干しなどかんたんに済ませ、お昼はトマトや野菜を使ってパスタを、そして夜は丼ものを作ることが多いのだという。炭水化物とビタミン、タンパク質などがバランスよく摂れて、しかも作るのがかんたんというのがその理由だ。みりんはスペインでは手に入らないので、白ワインで代用するなど工夫しながら、スペインでの自炊生活を楽しんでいるそうだ。

原田「ふだんお昼はパスタが多いんですけど、試合の日だけはうどんに変えています。いわゆる『勝負めし』ですね。うどんの乾麺を12パックほど持っていって、試合前に2束ずつ食べています。パスタより脂質が少ないというのと、なにより「試合の日はうどん」と決めることで、うどんを食べたら試合だぞという心理的なスイッチが入るのが大きいですね。夏場はザルで切ってきゅうりやツナを入れて冷やしうどんにしています」

またサン・クロレラは基本的に毎朝、朝ごはんを摂った後の練習前に200mlくらいのペットボトルの水にパウダーを入れて飲んでいるそうだ。そのうえで、練習や試合で身体が動かなかったと感じたときや、疲れを感じたとき、さらには野菜が足りていないと感じたときは、就寝前にも飲むなどして、クロレラをいつもより多く摂る工夫もしているという。

栄養管理の面から、基本的には自炊中心の生活ではあるが、たまにはチームメートと街へ出て、ケバブやお寿司など外食を楽しむこともあるという。また原田選手がラーメンをみんなのために作ったり、地元スペイン出身の選手がパエリアを作ってくれたりと、食事の時間を通じてチームメイトとのコミュニケーションも楽しんでいる。休みの日はジムに行ったり、チームメイトとショピングや映画、ボーリングなどに出かけたりしてリフレッシュすることが多いという原田選手。スペインでの生活にも、すっかり馴染んで満喫できているようだ。

ショタFSの監督の目の前で、ゴールをとってダンスを見せたい。

さて、いよいよ勝負の新シーズンが始まる。じつは移籍先のFCサンタ・コルマの監督は、原田選手がFCバルセロナのBチームの入団テストを受けたときにFCバルセロナの監督を務めていた人で、いわば原田選手のバルサ入団を決定してくれた恩人でもあるのだ。その監督からのオファーで決まった今回の移籍。否が応でも期待感は高まっていると話す。

原田「やっぱり今季と来季は勝負の2年になる。もしこの2年でなにもできなかったら、強制帰国することになってしまう。そういう危機感を持って臨むシーズンになると思うんです。もちろん毎年本気で取り組んでいますけど、今シーズンは命を削るくらいの覚悟でやって、目に見えるかたちで結果を出さないとスペインでの挑戦が終わってしまう、まさに背水の陣のシーズンになると思っています」

具体的には「最低ラインとして10点」という目標を掲げた。そのためにはシーズンを通して活躍を持続することが大事だと話す。というのも昨シーズンはプレシーズンで得点を重ね、開幕当初もすごく調子が良かった。ところがシーズンに入ってしばらくして調子が下降。原因はあまりに調子が良すぎたためにペース配分がうまくいかず、肉体的な疲労もあったと分析する。また相手チームのスカウティングにより、対策されてしまったこともあるということだった。そこで今年は、プレシーズンではある程度の余力を残しつつ、様子見しながらシーズンに入っていくこと。さらには相手の対策を超えるような圧倒的な攻撃力で蹴散らしていくことを自らに課した。

原田「今シーズンはまず『一対一』を見てほしい。ディフェンスも含め、そこは強化してきたところなので。あとはとにかくゴールに直結するプレーをしたい。やはり攻撃力、特に得点力が自分の最大の持ち味なので、そこは見てほしいですね。自分の持ち味を発揮してチームを勝たせ、誰もが目に留まるようなプレーを一年継続してできれば、必ず来シーズンはバルサに戻れる。自分にはすでにその能力が備わっている。ぼくは、そう信じています」

そしてもうひとつ、彼にはどうしても自身の攻撃力で圧倒しなければならない理由がある。それが古巣ショタFSとのマッチアップだ。じつは彼はショタのサポーターから「コロ」の愛称で親しまれ、強く愛されていた選手だった。試合に出ていないのにもかかわらず「お前のプレーが一番良かった」とサポーターから声をかけられたりするほど、彼への注目が高かったのだ。そのチームで活躍できなかった。サポーターに自分の良いプレーを多く見せることができなかった。その悔しさがまだ残っているのだ。チームを去るときに試合に出してくれなかった監督に、原田選手はこう言い放っている。

原田「来シーズン、FCサンタ・コルマとショタFSが試合することがあったら、オレがゴールを決めて、その時はあんたの前で踊ってみせる」

勝負の年となる2025-2026シーズン、できるだけ数多くそのダンスシーンが見られることを期待したい。

挑戦者であり続けることの楽しさを伝えていきたい。

「世界一のフットサル選手」になる。そう宣言して日本を飛び出し、スペインでの武者修行を経て、一時はFCバルセロナのトップチームまで上り詰めた原田快選手。苦しいシーズンを経験した彼が、いまふたたびチャレンジャーとして、新たな戦いに挑もうとしている。そのひたむきで貪欲な姿は、彼の背中を追う子どもたちに、きっと良い影響を与えていることだろう。最後に彼から子どもたちへのメッセージをお願いした。

原田「とにかくやると自分で決めて、それをめざして努力を続けてさえいれば、どんな人にでも、なんにでもなれるものだとぼくは思っています。たとえば切れ味の悪い包丁だって、磨けば切れるようになる。最初は下手くそでもいい。できなくても気にしない。とにかく自分は上手くなる。上手くなれる。そう信じて続けていけば、必ず上手くなれます。あとは自分のストロングポイントを知って、そこを磨いていくこと。ぼくだったら攻撃力ですよね。苦手の克服も大事だけど、子どものころはまず自分の強みを知って活かすこと。そっちに集中して取り組んでほしいです」

また、とくに海外へのチャレンジということでいえば、やはり語学力とコミュニケーション能力は身につけておいたほうがいいと語る原田選手。彼の知り合いのなかにも才能があったにもかかわらず、自分の部屋に篭りっぱなしで誰とも仲良くなれず、結果的にそのまま帰国してしまった子もいたという。コミュニケーションの秘訣は、まず先に自分が心を開くこと。自分がオープンマインドでいれば、そもそもスペイン人はオープンな性格の人が多いので、相手から話しかけてきてくれる。それにオープンマインドでいることは、監督やコーチ、チームメイトからのアドバイスも素直に聞き入れられる精神状態になりやすいとも話す。今シーズン、監督とのコミュニケーションで苦労した原田選手だからこそ感じた、切実なメッセージではないだろうか。

FCバルセロナとの契約に始まり、スペインでのキャリアを華々しくスタートさせた、ヤングスター原田快でさえ、最初から最後までなにもかもすべてがうまくいくわけではない。そのことが、むしろ子どもたちには励みになるのではないだろうか。だからこそ、いまの苦境を乗り越え、FCバルセロナ復帰、さらにはその先にある「世界一のフットサル選手」という夢を叶えた、原田快の勇姿を見せてほしい。どんな人の上にも雨は降る。それでも歩みを止めなければ、その先には必ず爽やかな快晴が待っている。それがいまの原田快というフットボーラーが発することのできる、なによりのメッセージなのだから。