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2020/05/01
アスリートフードマイスターに聞く!~スポーツのための食事~ Vol.1 ジュニアレスリング編 八隅士和選手

「レスリング界期待のジュニア選手・八隅士和選手の食生活習慣を専門家がチェック」

7歳のときにジュニアレスリング14冠を達成したことで注目を集め、中学1年生で全国中学生レスリング選抜選手権大会で優勝するなど、全国大会で好成績を残し続けるレスリング界期待のジュニアアスリートである八隅士和選手(13)。
今回、サン・クロレラ社は八隅選手に食事面を含めた生活習慣などを尋ねる計45項目のアンケートを実施。同社の生産開発部研究開発グループに所属し、管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格を持つ奥村が専門的な視点で改善点をチェックした。

中学生時の成長期は筋肉量が増え、さらに骨も長く太くなるため骨量も比例して増加します。運動すると筋肉、骨量がさらに増えるため、筋肉の材料となるタンパク質、骨を作るための材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を高めるビタミンD、骨の形成に関わるビタミンKを普段の食事で十分に摂ることが大切です。具体的にタンパク質を多く含む食品として、主菜(肉、魚、卵、大豆)、牛乳・乳製品(ヨーグルト、チーズ)があります。カルシウムは牛乳、乳製品以外に、小魚、小松菜、ひじき、わかめ、納豆、豆腐などにも多く含まれています。また、ビタミンDの多い食品はサケやサバ、サンマなどの魚、キノコなど。ビタミンKは緑黄色野菜、納豆などに多く含まれます。

さて、今回チェックした八隅選手は13歳の中学1年生。身長153㌢、体重49㌔(空腹時)。レスリング歴は約10年で、週6~7日トレーニングに励んでいるということです。事前アンケート結果によると、八隅選手の食生活習慣は、1日に小鉢2~3杯の野菜を摂取し、果物を食べるのは週1日以下。揚げ物を食べる頻度は週1日以下とかなり抑えられており、間食ではおにぎりやチャーハンをよく食べるという回答でした。このほかサプリメントも継続して摂っています。

また、八隅選手の1日の具体的な行動スケジュールは次の通りとなります。

八隅選手の食生活習慣は、学校が終わった後の練習前に補食としておにぎりをほぼ毎日摂っており、練習時のエネルギー補給がしっかりできています。
また成長期で骨量が増えてくる中でカルシウムを多く含んでいる牛乳を毎日飲んでいるほか、食事で揚げ物を積極的に控えるなど、毎日の生活ぶりから競技パフォーマンスの向上につなげたいという高い意識がうかがえます。

八隅選手の場合、午後9時近くに夕食を食べることが多いようです。
一般的に遅い時間に夕食を食べる場合、胃に負担をかける脂質を多く含む食品や油を多く使う料理は控えましょう。具体的には牛肉・豚肉で脂身が多い部位や、ベーコン、ウインナー、揚げ物、炒め物のほかマヨネーズを使用した料理は避けた方が良いでしょう。

中学生期の食事の摂り方は、朝・昼・夜の3回、バランスの取れた食事が理想です。具体例としては、主食、主菜、副菜、牛乳や乳製品、果物がそろった食事です。
また、食事の時間は特に指定はありませんが、夜に関しては就寝前には消化を終わらせておくのが良いため、21時までに食事を終わらせておくことをお勧めします。
八隅選手のように遅い時間に夕食を食べる場合、その食事量にも工夫と改善の余地があるかもしれません。

もし、朝食や昼食と同じ量を寝る前の夕食で食べていたら、体を休めるための大切な時間に、消化吸収に力を使ってしまい、十分に体が休めていないと感じる恐れもあります。一方で単純に夕食の量を減らしてしまうと、1日に必要なエネルギーが不足してしまいます。そこで、練習時間の前後や休憩時間で簡単な補食(おにぎり、サンドイッチなど)を食べることで、エネルギーを適切な形で補給することが望ましいでしょう。

では成長期の骨量を維持するための理想となる食事メニューは何でしょうか。
夕食メニューの例を挙げるなら、ご飯、サバの味噌煮、ネギやミョウガをのせた豆腐、ホウレンソウの胡麻和え、ヒジキの煮物、ワカメとキノコのみそ汁、プチトマト3個が理想的です。さらにご飯を食べる時にちりめんじゃこをかけてみるのも良いでしょう。このメニューなら、必要な栄養素をしっかりカバーすることができます。

最後に、八隅選手の食生活習慣に関して、私が気になった点が1つあります。
それは、週に1回以下しか果物を食べていないことです。改善策として、例えばバナナは糖度が高く、さらにビタミンやミネラルを多く含み、補食時のエネルギー補給に有効ですのでお勧めです。
また、厳しいトレーニングをされた後は体にストレスがかかっています。効率よく体が回復するにはビタミン・ミネラルの補給も大切です。八隅選手は朝のトレーニング後に朝食を食べられているので、ミカンなどのかんきつ類や、リンゴ、キウイフルーツ、イチゴなど手軽に摂れる果物をプラスされると良いと思います。

専門家のチェックを受け、八隅選手の母は「果物があまり好きではないため買う習慣がないのですが、ミカンなどでビタミンを積極的に摂らせようと思いました。食事の時間が遅いことと、睡眠時間のタイミングについて、このままでいいのか疑問に思っていたことが解決しました」と納得の様子。食生活習慣にもまだまだ多くの伸びしろが隠されていることが分かった八隅選手。今後、どのような成長曲線を描いていくのか。ますます目が離せない。

八隅士和選手プロフィールこちら