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2021/12/16
アスリートフードマイスターに聞く!Vol.16ノルディック複合編 中村安寿 選手

【アスリートフードマイスターに聞く!Vol.16ノルディック複合編 中村安寿 選手】

スキージャンプとクロスカントリースキーを行い、その両方の成績を合計して順位を決める「ノルディック複合」は、「ノルディック・コンバインド」とも呼ばれる冬季競技だ。管理栄養士とアスリートフードマイスター1級の資格を持つ奥村(生産開発部研究開発グループ所属)が、今回チェックするのは、女子複合日本代表として世界で活躍する中村安寿選手(21)。2020/21シーズンに女子複合初のW杯で、堂々の銅メダルを獲得し、今後、世界王者への期待が高まる注目のアスリートに向けて、奥村は「水分の摂取量」などについてアドバイスを送った。

1日の食事記録をチェックする

最初に、回答いただいたアンケート結果を整理していきます。中村選手の身体測定値は身長155㌢、体重48.5㌔(空腹時)。トレーニング頻度は週6~7日です。1日の野菜摂取量は小鉢4~5杯で、果物を食べる頻度は週4~5日とのこと。このほか、揚げ物は週2~3日食べる程度で、牛乳・乳製品はほぼ毎日摂っています。1日の食事・活動記録は以下の通りです。

競技に必要な体をつくるうえでの基本的な食事

まず、「ノルディック複合」は瞬発力と持久力が求められる競技です。そのためエネルギー源となる糖質や、筋肉をつくるたんぱく質を十分に摂ることが大切です。中村選手は毎食、エネルギー源となる糖質をご飯、麺類から摂っています。さらに筋肉の材料となるたんぱく質を含む食品についても、大豆製品、卵、ハムなどをしっかり食べていたことは良かったです。また、糖質がエネルギー、たんぱく質が筋肉になる時は、「ビタミンB群」が必要です。ビタミンB群の主な働きは、エネルギー代謝をサポートすることです。ビタミンB群は糖質やたんぱく質を多く含む食品だけではなく、野菜、海藻、いも、果物、乳製品などをあわせて食べることで、多く摂ることができます。中村選手は1日の食事の中で野菜、いも、果物、乳製品をしっかり食べていました。
女性アスリートは利用可能なエネルギーが不足することで、視床下部性の無月経や骨粗鬆症の発症リスクが高まる「女性アスリートの三主徴」が問題となっています。 今後もエネルギー源となる糖質を含むご飯や麺類、筋肉の材料となるたんぱく質を含む大豆製品、卵などを十分に食べて、ビタミン、ミネラルを含む野菜、海藻、いもなどの副菜に果物、乳製品がそろった食事を心がけてほしいです。


【朝食(写真左)】
ご飯、ほうれん草と卵のスープ、目玉焼き、ハム、ビーツのピクルス、アボカド納豆カッテージチーズ、オレンジジュース、サン・クロレラ、ブルーベリー、きな粉ヨーグルト
【昼食(写真中)】
ご飯、大豆ミートの唐揚げ、ポテトサラダ、揚げ豆腐、ジャガイモ、揚げ茄子、漬物
【夕食(写真右)】
カレーうどん、サツマイモと蓮根の照り焼き、野沢菜の漬物、牛乳


緑黄色野菜と淡色野菜の両方を食べる

野菜には体の調子を整えるビタミン、ミネラル、さらに脂肪の吸収を抑えて腸内環境を整える食物繊維がありますが、種類によって栄養価は異なります。
ほうれん草やブロッコリー、ピーマン、トマト、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜は、βカロテンやビタミンCといった抗酸化物質が多く含まれます。抗酸化物質は疲労の原因とされる活性酸素を軽減する働きがあるため、緑黄色野菜の積極的な摂取が大事になります。また、キャベツや白菜、レタス、玉ねぎ、ごぼう、れんこん、大根などの淡色野菜は、水分や食物繊維が多く含まれていることが特長です。
今回の中村選手の食事記録では、キャベツ、玉ねぎ、レンコン、大根、枝豆、白菜、きゅうり、ミョウガ、ビーツなどの淡色野菜に加え、ほうれん草、にんじん、トマト、野沢菜、ブロッコリー、にらなどの緑黄色野菜を食べていて、量も毎日小鉢4~5杯と多いので素晴らしいです。今後も引き続き、緑黄色野菜と淡色野菜の両方を食べてほしいと思います。

競技パフォーマンスと水分の関係

アスリートの食事を考える時に、エネルギー源となる糖質や筋肉の材料となるたんぱく質に注目しがちですが、競技パフォーマンスにおいて水分は大変重要です。体内の水分は運動中に失われますが、特に発汗により体重の2%ほど減少すると競技パフォーマンスが低下することが知られています。(出典1:Med Sci Sports Exerc. 2007 Feb;39(2):377-90.)(出典2:Med Sci Sports Exerc. 2016 Mar;48(3):543-68.)
そのリスクを防ぐためにも、競技前後で体重を測定して約1kgの体重減少が見られる場合、いつも飲んでいるスポーツドリンク500mlに加えて運動する前や運動の休憩中にこまめに水分補給することをお勧めします。

食べる量のコントロールについて

このほか今回実施したアンケートの回答に、「食べ過ぎてしまうこと」を問題点として挙げていましたが、活動記録では2回に分けて計約5時間の練習をしているので、食事の量に問題はないと思います。ただ、運動量がそれほど多くない日は調整が必要です。例えば体幹トレーニング、ウエイトトレーニング、コーディネーショントレーニングなど、エネルギーをあまり使わないメニューだけを行う場合もあるかと思います。そのような時は、朝起きてトイレ後の体重を確認して食べる量を調整することが望ましいです。
また、運動量が多いハードな練習に取り組む時は、エネルギーを多く使っているので疲労を強く感じやすくなります。疲労回復のためにも1日3食をしっかり摂ることが大事ですが、練習後すぐにエネルギーとなる糖質を多く含む食品を補食として食べることも疲労を軽減するうえで推奨されています。具体的には、おにぎりやパン、カステラやどら焼き、まんじゅうなどの脂質が少ない和菓子やゼリー飲料などがお勧めです。


五輪優勝を目標に据え、日々レベルアップに励む中村選手。奥村からのアドバイスを受け、「摂取した野菜がどんな働きをしているのか深く知らなかった。今後もしっかりバランスのとれた食事をしていきたい」と納得した表情を浮かべた。さらに、水分の摂取量についても、かねて不足気味であることを自覚していたと明かし、「海外遠征の移動時間も含め、しっかり水分を取っていこうと思う。練習メニューや体調をみながらうまく食事をコントロールし、今後も競技に励んでいきます!」と力強く続けた。日本における女子複合の第一人者として挑戦を続ける21歳。これからはコンディション維持により意識を高くもち、パフォーマンスに磨きをかけていく。

中村安寿選手が飲んでいるサン・クロレラAパウダーはこちら

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