池田祐樹/池田清子
プロ・マウンテンアスリート/アスリートフード研究家
長距離を中心にマウンテンバイクとトレイルランの分野で活躍するプロ・マウンテンアスリートである池田祐樹選手と、彼の妻でプラントベース・アスリートフード研究家でもある清子(さやこ)さん。互いの分野に少しずつ越境しながら互いの成果へと繋げている。まさに最高のパートナーであり、最上のチームメイトでもある。
後編では、池田清子さんが提唱する「プラントベース・アスリートフード」の具体的な中身や、それがもたらす食生活および肉体への影響についてくわしく紹介してもらった。また、4年にわたって愛用されているサン・クロレラAとアスリートの体づくりの関係性や、食を通じたふたりの特別なコミュニケーションのかたち、夫婦揃って描く今後の夢などについても語ってもらった。
プラントベース・アスリートフードが拓く食生活の未来。
長距離のマウンテンバイク選手として競技生活をスタートし、2019年からはトレイルランも加えた「プロ・マウンテンアスリート」としての活動を続けてきた池田祐樹選手。彼のアスリートとしてのパフォーマンスの土台を支えているのは、やはり身体づくりである。妻であり、自身もトレイルランのレースに参加しているという池田清子さんは、アスリートフード研究家として日々の食生活の面から彼をサポートしてきた。彼女によると、アスリートフードとは「スポーツをするという観点から、その人のいちばん良いコンディションでいられるようにするための食事」のこと。ウエイトコントロールや、パフォーマンス向上につながる筋肉の増量など、つねにベストコンディションを維持するための食事メニューや食事メソッドのことであり、毎日の食生活を通してアスリートに欠かせない自分の身体とのコミュニケーションを図ることである。なかでも彼女がとくに提唱しているのが「プラントベース・アスリートフード」というものだ。
池田清子「プラントベース・アスリートフードというのは、植物性のものだけで身体を作ること。動物性の食品で体を酸性に傾けることで疲労回復に時間がかかってしまったり、消化時間が長くなるため腸への負担が大きくなるというデメリットがあります。1分1秒を争う世界で生きるアスリートにとって、この小さな負担の積み重ねはとても大きな差になると考えています」
また彼女は「プラントベース・アスリートフード」といっても、決して特別な食材や輸入食品などではなく、ごく一般的な家庭料理の延長でできるものがほとんどであると話す。だから日々の食生活の中での実践や継続がしやすい。アスリートの食事といえば肉をたくさん食べることで筋肉をつけて、強い身体を作ることが求められると思いがちだが、必ずしもそうではないということだ。
池田祐樹「僕もかつてはお肉を食べていた時期もあり、それから完全菜食にスイッチしたアスリートのひとりです。その僕自身の体験でいえば、アスリートこそヴィーガン食や菜食のほうが良いと考えています。とくに肉体疲労の回復の早さと内臓の軽さ。連戦が多いなかで、身体が重く感じることがかなり減りました」
池田清子「アスリートがヴィーガン食や菜食にするメリットは、様々あります。例えばハードなトレーニングをしたあとは身体のなかで活性酸素が過度に発生してしまい筋肉痛や疲労につながりますが、抗酸化作用のある植物性の食品を摂ることで疲労早期回復の助けになります。また、食物繊維は腸内環境を整えてくれたり、身体の炎症を抑える短鎖脂肪酸の産生を増やしてくれる働きもあります。それに消化に時間と負担がかからないぶん、肉体が疲労回復のほうにエネルギーを回せるのも植物性食品のメリットです」
そう語る彼女がいまオススメのスーパーフードは、必須アミノ酸が豊富な玄米甘酒や、デトックス効果が高くカルシウムが豊富に含まれている切り干し大根、食物繊維がたっぷりなひじきなど、日本人がふだんの食事のなかで摂れるものばかりだ。だからこそ「プラントベース・アスリートフード」は毎日の日常生活の中に取り入れやすく、親しみやすくて続けやすいものなのだと、彼女はあらためて強調する。
いちばん近くにいるからこそ、日々の変化や成長に気づける。
そうしたプラントベースを基本とした食生活は、サン・クロレラのフィロソフィーとも相性がいい。池田夫妻がサン・クロレラAを使用するようになってから、はや4年。そのなかでクロレラもいわゆるプラントベースホールフードと呼ばれる植物性の食材を精製や抽出をせずにそのまま食べる食品のひとつであり、その共通性を「フラット」という言葉で表現した。
池田清子「私なりの評価基準でいえば、選手がフィールドやスタートラインに立っている瞬間に『身体に不調がない』というだけで100点だと思っています。私の仕事は、その時点で選手が持っている能力や積み重ねてきた練習の成果などを、100%発揮できる状態に維持すること。食事で肉体を飛び抜けてプラスの状態にすることはできませんが、マイナスにならないようにする、つまり『フラット』な状態に持っていくことはできる。サン・クロレラAはまさにそのフラットな状態を維持することに向いているというか、マイナスな状態や不調に陥らないようにケアしてくれるようなところがある気がしています」
池田祐樹「そうそう。たとえばある目標にしているレースがあったとしたら、そこに向けて身体をピークに仕上げていくためには、半年から一年くらい前から準備することになる。そうすると当然そのあいだに好不調の波というのは絶対にあるわけですね。あとトレーニングレースのために海外に行くと飛行機でコンディションを崩すをことが何度もあった。しかしプラントベースの食事を始めて、さらにサン・クロレラAを飲み始めてからは、調子が下降しマイナスになる頻度が明らかに減ったと感じます。それに、なにしろサン・クロレラAの成分は天然由来のものだし、プラントベースでもあるので安心して継続的に飲めるのが心強い。縁の下の力持ちのように、コンディションを下支えしてくれる存在なんです」
身体に変調をきたしたり、不調に陥ったりするとトレーニングメニューの変更やトレーニングスケジュールの変更が余儀なくされ、試合までのプランが崩れてしまう。またマイナスからプラスに調子を上げていくのはかなりの時間とエネルギーが必要で、アスリートにとって『フラット』でいるということは、じつはかなり重要なことなのだ。
こうしてふだんから食を通じて身体と密接なコミュニケーションを図っている池田夫妻。ふたりのあいだで交わされる会話のテーマも、やはりほとんどは食とお互いのコンディションについてなのだという。
池田清子「食事の管理や体調管理をするパートナーがいちばんそばにいる家族なので、いつでも互いにフィードバックができる距離だというのは大きいと思います。夜は会食でカロリーの多い食事をする予定だから、お昼はこのくらいにしておこうとか、逆に今日はハードなトレーニングの日だったのでこういう素材とこういうメニューで、この種類の栄養をしっかりめに摂ろうとか、そういう微調整や変更が即座にできるのは彼にとって便利だし、結果もリアルかつ即座に見えるので私にとっても勉強にもなりますね」
池田祐樹「基本的に同じものを食べて同じように生活していても、当然のことながら人によって得られる結果や反応は異なってきます。だから、そのあとお互いに睡眠時間や睡眠の質、その日の体調やトレーニングのフィーリング、ひいては健康のバロメーターとも言われるお通じの状態までをお互いに報告しあったり、なにが良くてなにが悪かったのか、振り返りをしたりもしています。まるでお互いの身体で人体実験しあっているような感じですね(笑)」
スーパーで食材の買い物をするとき、朝の体重チェックをしたとき、トレーニングから帰宅したとき、自然に会話は体調に関わる話になっていく池田夫妻。趣味と仕事と生活がひとつに溶け合って、しかもそれを生涯のパートナーと一緒に楽しみながらできる。まさに夫婦は最強にして最高のチームなのだ。
2022年はようやく再び、アメリカで行われるレースに出場する予定だ。池田祐樹選手のモットーである“己を超える戦い=超戦”について問うと「まずはコロラド州で開催されるレッドチャレンジというマウンテンバイクとトレイルランニングの長距離の複合シリーズ戦でアジア人初の優勝を勝ち取ること。長期的には『100歳で100マイルレース出場』という夢を叶えること」いう答えが返ってきた。過酷なレースに挑戦し続けるためには、身体を酷使しない食生活が必要になる。そして、夫がその夢を叶えることは、妻の仕事が達成された証でもあるのだ。
これからもその夢に向かって夫婦で二人三脚、歩み続けていくことだろう。トレイルランレースにも参加している清子さん。祐樹さんは清子さんのことを、下り道のスペシャリストだといい、スペインで開催されている42.195km全コース下りのみという特殊なレースに、いつか夫婦で出場してみたいと楽しそうに話す。“食べることは生きること”と言い切るふたりのライフスタイル。そこからは「健やかな食事を中心とした健やかな生活を送るすべての人は、アスリートである」というメッセージが、まっすぐに、そして力強く放たれているのだった。