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Vol.47
父は名伯楽。息子は期待のホープ。 八隅士和が父孝平を超える日

八隅士和(しな)
八隅孝平
レスリング/ロータス世田谷

高校生になったレスリング界のサラブレット・八隅士和の心が折れなくなった理由
2022/04/22

2019年春、まだ子供のようなあどけなさを残した微笑を浮かべていたキッズレスラーは高校に進学した現在、逞しい少年へと変貌を遂げていた。小学生のときには計6度も日本一に輝いた八隅士和は師・田野倉翔太の活躍の舞台だったダイナミックな投げ技が特徴のグレコローマンスタイルに挑戦しようとしている。

この3年で身長15㎝、体重20㎏アップ!

3年という歳月は人を大きく成長させる。前回取材したときは、かわいい子供という印象だったのに、今春自由が丘学園高に進学した八隅士和(やすみ・しな)は凛々しい顔立ちが印象に残る少年に成長していた。

身長はまだ伸びている実感があり、体重は64~65㎏まで増えたという。

「この3年で身長は15㎝は伸びました。体重は20㎏ほどアップしたと思う」

父で士和にレスリングのイロハを叩き込んだ格闘技ジム『LOTUSE世田谷』を主宰するMMA(総合格闘技)の名トレーナー・八隅孝平の背丈を抜くのも時間の問題だ。息子の成長に相好を崩す父の傍らで士和は「最終的には172㎝くらいになると思う」と予想した。「家族で一番大きくなるのはやっぱりうれしい」

小1のときからキッズレスリングの全国大会で優勝しているが、中1のときには全国中学選抜選手権44㎏級で優勝している。その後も士和は確かな手応えを感じ取っていた。

「技術的な面もそうだけど、メンタル面で成長できたと思います。以前は相手にポイントをとられると『もうダメだ』と諦めることも多かったけど、中学生になってから心が折れなくなったかなと思います」

心が折れなくなった理由は?

「練習のときも試合をイメージするようになって、ポイントをとられても冷静に『取り返せばいい』という気持ちで続けられるようになったからだと思います」

中学時代、やり切れなかった部分がある

そんな士和の前にも新型コロナウイルスの感染拡大は深い影を落した。中3のときには出場を予定していた大会は相次いで中止となった。結局、マットに上がることができたのは、11月下旬に開催された全国中学選抜大会だけだったという。

この大会で51名ものエントリーがあったフリースタイル62㎏級に出場した士和は順調に勝ち上がったが、決勝では伊藤海里(北海道・第四中/帯広クラブ)に敗れ、準優勝に終わった。よほど悔しかったのだろう。士和は「中学の3年間を通してフィジカル面では大きく成長したけど、やり切れなかった部分はある」と悔やんだ。

「それ以外は試合をしていない。したかったけど、できなかった。だから自由が丘学園で校内試合(練習試合)をやってもらい、それでモチベーションを保っていました」

自由が丘学園高レスリング部には小6から出稽古先として連日通いつめた場所なので、士和は「もう慣れている」と微笑んだ。

「なので、緊張することもないですね」

この高校が気に入った理由は全日本選手権で2度、全日本選抜選手権で3度優勝した経験を持つ田野倉翔太監督の指導を受けられることに尽きる。監督の話題になると、士和は目を輝かせた。

「田野倉先生はがぶり(前かがみになった相手にかぶさり、コントロールしようとする技術)が得意なので、その技術を教えてもらったりしています。そのたびに『ああ、そうなんだ』と納得しています」 具体的にいうと何がすごい?
「力とかも全然違うので、田野倉先生ががぶりに入ったら、守ることすらできない。練習しても、まだまだ全然叶いません」

現役時代、田野倉の専門は上半身だけを攻め合うグレコローマンスタイルで世界選手権にも出場した。士和は高校時代はもうひとつのスタイルであるフリースタイルもやりながら、グレコローマンのテクニックを磨き将来的にはこちらに専念という青写真を描く。

「グレコには一気に4点とれる(反り投げなどの)大技があるじゃないですか。そこが一番の魅力ですね」

だからこそ昨年8月に開催された東京オリンピックではもっぱらグレコローマンの日本代表の活躍に注目していた。

「60㎏級の文田健一郎選手だったら、得意技である反り投げ。77㎏級の屋比久翔平選手だとグラウンドの状態から相手をどうやって持ち上げるのかというリフト技に視線を投げかけていました」

高校卒業後はアメリカ留学の計画も

高校生になれば、士和の1日は今まで以上に忙しくなる。朝練習は午前7時15分にスタートする。世田谷区の自宅から学校までは片道50分はかかるので、毎朝5時過ぎには起きないといけない。

「朝は弱い方ですけど、自分で起きる習慣をつけようと思います」

放課後の練習は午後3時45分からスタートする。中学生の試合時間は1ピリオド2分だが、高校になるとそれは3分になる。スタミナ面を考えるとこの差は大きい。士和も「中学生と高校生の間にはフィジカルの差がある」と自覚している。「だから朝練の走りでは誰よりも速く走れるようになりたい」

学校での二部練習が終わると、父が待つLOTUS世田谷に足を運び、ひとりで筋トレに励むつもりだ。士和は日々の絶え間ない努力こそ未来を切り開く原動力であることを理解している。「(そうすることで)3年生になったら、田野倉先生を追い抜くくらいの実力をつけたい」

幸い今年はコロナ禍以前と同じように大会が開催される見込み。士和は4月のJOC杯を手始めに、インターハイ、国体と国内の主要大会全てに出場するつもりだ。

「JOC杯のようにグレコがある大会にはグレコに出場しようと思っています。出られる大会には全部出る」

減量は4~5㎏なので問題はないという。「減量のときには栄養指導の内容を参考にサンクロレラAを飲んでいるけど、効果を感じますね。食事は脂質などを気にして食べています。いまウチには低温調理器があるので、お母さんがローストビーフなどを作ってくれます。以前は茄子やキノコが苦手だったけど、ちょうど1年前くらい前に合宿で行った長野でそれらが入った天ぷらそばが美味しかったので、食べられるようになりました」

少年は大志を抱く。まだおぼろげな目標ながら、大学はアメリカに留学しようという考えもある。「英会話はまだできないけど、もう両親には相談しています。アメリカでフリーもグレコもやってみたい」

 高校を卒業する頃、八隅士和はレスラーとして、そして人としてどこまで成長しているのか。