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Vol.51
イタリア挑戦を経て、世界中に恩返しを

髙橋藍
バレーボールプレーヤー/日本体育大学バレーボール部

イタリア挑戦を経て、世界中に恩返しを 前編
2022/06/15

2022年4月、日本のバレーボールプレーヤー髙橋藍は、数々の経験を携えて世界最高峰リーグの一つイタリア・セリエA挑戦から帰国した。若きバレーボーラーの挑戦に、日本、そして世界中のファンが注目したことだろう。インタビュー前編では、その挑戦の中で得た自身のプレースタイルや、日本にはない環境で成長したメンタル面に迫った

身をもって感じたレシーブ力への評価

大学のシーズンを終えてから渡伊したこともあり、髙橋のイタリア・セリエA挑戦は4ヵ月と短い期間だった。だが、帰国した髙橋は一回りも二回りも大きくなっており、得られた経験を満足げに振り返った。

「まずは、イタリアに行って海外の高さや雰囲気を感じたいという思いがありました。試合に出ることはもちろんですが、この4ヵ月いろいろな選手を見て、海外のトップ選手と対峙して、バレーのスキルも、考え方にも気づきがあって、成長できた期間でした」

異国の文化に触れる中で、“考え方”という面で髙橋のいちばんの気づきは、自身のプレースタイルについてだった。髙橋のプレースタイルは、得点しても大声を出すことは少なく、常に冷静な印象が強い。彼自身も「豪快な熱いプレーヤーではなく、空回りしないように心がけている」と話す。しかしその考えは、感情をあらわにする海外選手のプレースタイルに真正面から触れたことで変化した。

「感情を表に出すことは、チームの雰囲気はもちろん、自分の調子を上げていく方法の一つだと感じました。チームの状態によって、冷静にやるときと、熱くなるときを使い分けることが大事だと気づきました。このプレースタイルは、これからも意識していきたいです」

プレースタイルを使い分けるという考え方に気づいた髙橋。では、スキル面で気づいたことは、いったい何だったのだろうか? それは自身も得意と語る、レシーブに関してだった。

「日本人のレシーブ力は、とても評価が高いです。監督や選手から、『形がきれい』と言われましたし、ふだんの練習では自分(髙橋)からサービスエースを奪いたい、少しでも崩したいという思いがめちゃめちゃ伝わってきました。海外選手の強い闘争心が自分に向けられているということは、ポジティブに捉えれば自分のレシーブ力が評価されているということだと思います」

“レシーブ力を評価されている”

その感覚は思わぬ形になってあらわれた。現地2月27日のミラノ戦からシーズン最後の試合まで、3試合で髙橋はリベロとして起用されたのだ。

リベロのメンタル、ベンチのメンタル

試合の3日前に伝えられたという、中学生時代以来のリベロでの試合出場。その緊張感は、スパイカーで出場するときとは違っていた。

「レシーブのプロフェッショナルのポジションなので、自分が崩れたり、拾えなかったときの責任感がありました。また、スパイカーは点を取れるポジションですから、ミスを挽回することができますが、リベロはそれができないので…。上がらない日はとことんダメで、メンタル的に厳しいと感じました」

目に見える成果をあげることが難しいポジションを務める中で、自身のメンタルを保つために意識したことは、周りへの声かけだった。ボールが上がらなくても、指示の声を出してチームを動かしたり、雰囲気を上げていく。リベロ以外でもできることだが、後衛で守る、リベロがいちばんやりやすいポジションだと実感していた。

メンタル面ではもう一つ、日本では少なかった経験があった。バレーボールを始めてから大学まで、下級生時からチームの主力として活躍してきた髙橋は、スタメンで試合に出場する機会が多い。だがイタリアでは、チームに合流した時点でシーズンが始まっていたこともあり、いきなりスタメンで出場することは難しく、途中出場がメインだった。

「途中から出るときの1本目はとても難しくて。スタメンで出ているときは、徐々に調子を上げていくことができますが、拮抗した場面や負けているときに出て、一発目から力を出すことは、スタメンのときとは違った難しさがありました」

だがこの経験も、これからに生かされるもの。ハードなスケジュールで大会が行われる中で、常にベストメンバーで戦うことは難しく、髙橋が途中から起用されることもあるだろう。初めからコートに立っていなくても、一緒に戦っているイメージで緊張感を作ることや、ベンチでのウォームアップなど、途中出場に必要な準備を、身をもって経験した。

「満足はしたくないから80点」

イタリアでプレーした4ヵ月に点数をつけるなら? この質問に髙橋は迷いながらも高得点をつけた。

「ほんとうは100点に近いくらいですけど…80点で! イタリアの地でバレーボールを経験できたことがよかったですし、この4ヵ月で自信をつけることができました。これからの活動で生かしていきたいプレーの安定感やリーダーシップには、この自信がつながってくると思います。スキルもフィジカルも成長できた内容の濃い4ヵ月だったので、80点がベストです。足りない20点は、まだ満足したくないから空けておくと言いますか、これからも伸びないといけない、という気持ちのあらわれです」

日本では経験することができない環境のもとで過ごし成長して帰ってきた髙橋は、その20点を埋めるためにも、「また海外に挑戦したい」と話す。しかし、バレーボールの面はもちろん、生活面でも、海外ならではの苦労があった。